2007年07月07日

「新潮文庫の100冊」ループをつくる

2回にわたって、集英社文庫「ナツイチ」の「次はコレ!」と角川文庫「夏の100冊」の「次に読む本を発見。」を見てきたわけですが、これで終わってしまえば、はっきり言って、ただの徒労。疲れただけです。
正反合というか、ホップステップジャンプというか、起立礼着席というか、とにかくシメが必要なわけで、今回がそれです。

結局のところ、「次の本」へのリンクが、集英社文庫のようにいきなり2冊目で終わってしまうのも、また角川文庫のようにすべての作品が同じ本へと行き着いてしまうのも、あまりおもしろくありませんよね。いちばんいいのはやはり、次の本、次の本、とたどっていって、ふと気が付くと、おやまあ、これは最初に読んだ本ではありませんか、という、すべての本がひとつのループとなってつながって、ウロボロスの蛇のようになる、ということでしょう。
そして、おお、なんたる僥倖、われわれの手元にはまだ新潮文庫が残っており、そして、この「新潮文庫の100冊」には、集英社や角川のような「次の本」の企画が載っておりません。

ということで、おわかりですね、この「新潮文庫の100冊」を題材に、実際にひとつのループができるように、本をつなげることにしました。
ルールとしては、
・最初と最後はメジャーなところにしたい。(どうせループなんだけど)
・同じ作家が並ばない(できるだけ離れる)ようにする。
・まっとうなつながりをなるべく避ける。
という3点を心がけてみたのですが、さて、どうでしょうか‥‥。

蜘蛛の糸・杜子春(芥川龍之介)
  [古典に取材]
李陵・山月記(中島敦)
  [変身する話]
変身(カフカ)
  [カフカつながり]
海辺のカフカ(村上春樹)
  [四国へ行く話]
坊っちゃん(夏目漱石)
  [同じ先生とはいえ、なんだか正反対だ]
二十四の瞳(壷井栄)
  [しかし現代の子どもはもはや大石先生の手には負えません]
4TEEN(石田衣良)
  [少年たちの物語]
夏の庭(湯本香樹実)
  [同じく、少年たちの物語]
十五少年漂流記(ヴェルヌ)
  [漂流する話]
老人と海(ヘミングウェイ)
  [老人つながり]
西の魔女が死んだ(梨木香歩)
  [老婆のキャラが魅力つながり ※「停電の夜に」所収の「三度目で最後の大陸」]
停電の夜に(ジュンパ・ラヒリ)
  [人生の微妙な一場面を巧みに描いた短編集]
思い出トランプ(向田邦子)
  [人生いろいろです]
人生論(トルストイ)
  [説教くさいつながり]
エイジ(重松清)
  [少年少女の成長物語]
ふたり(赤川次郎)
  [ひとりの中に同居してます]
ジーキル博士とハイド氏(スティーヴンソン)
  [正体を隠してました]
破戒(島崎藤村)
  [題名ががまぎらわしい]
破獄(吉村昭)
  [逃げようとして、なかなか逃げられない話]
砂の女(安部公房)
  [切れそうでなかなか切れないのが男女の縁]
雪国(川端康成)
  [オトナの恋愛をもうひとつ]
ため息の時間(唯川恵)
  [ドロッとしたオトナの関係のあとは、さわやかなので口直し]
黄色い目の魚(佐藤多佳子)
  [絵描きが主人公(?)です]
絵のない絵本(アンデルセン)
  [童話作家つながり]
小川未明童話集(小川未明)
  [童話つながり]
診療室にきた赤ずきん(大平健)
  [もうちょっと本格的な昔話を]
日本の昔話(柳田国男)
  [民話・伝承に取材]
精霊の守り人(上橋菜穂子)
  [元気な女子の物語]
赤毛のアン(モンゴメリ)
  [血のつながりのない家族]
卵の緒(瀬尾まいこ)
  [ちょっと変わった家族のかたち]
キッチン(吉本ばなな)
  [癒されたいつながり]
心がだんだん晴れてくる本(中山庸子)
  [癒され本です]
ありがとう大五郎(大谷英之・写真 大谷淳子・文)
  [手足のない話]
江戸川乱歩傑作選(江戸川乱歩)
  [アブノーマルなことにチャレンジ]
愛より速く(斎藤綾子)
  [ちょっと変態]
痴人の愛(谷崎潤一郎)
  [極限の夫婦愛]
智恵子抄(高村光太郎)
  [あんまり濃いのもアレですから、まっとうな庶民の夫婦を]
菊次郎とさき(ビートたけし)
  [どこか懐かしいあの時代]
螢川・泥の河(宮本輝)
  [昔の少年時代を読んだら、今どきの少年時代を]
くちぶえ番長(重松清)
  [音楽つながり]
ボクの音楽武者修行(小澤征爾)
  [音楽つながり]
楽隊のうさぎ(中沢けい)
  [みんなで仲よく、さわやか青春]
夜のピクニック(恩田陸)
  [ピクニックどころか、遭難しちゃったんだけど]
八甲田山死の彷徨(新田次郎)
  [遭難つながり]
星の王子さま(サン=テグジュペリ)
  [遭難つながり]
無人島に生きる十六人(須川邦彦)
  [南の島つながり]
硫黄島に死す(城山三郎)
  [戦いに生き、戦いに死す]
風林火山(井上靖)
  [これもまた戦い]
コールドゲーム(荻原浩)
  [少年が生きていくのはタイヘンなのだなあつながり]
車輪の下(ヘッセ)
  [車つながり]
火車(宮部みゆき)
  [社会派ミステリの古典を]
点と線(松本清張)
  [鉄道つながり]
新編銀河鉄道の夜(宮沢賢治)
  [鉄道に乗って、行き着く先は、死]
塩狩峠(三浦綾子)
  [読書感想文にぴったり]
こころ(夏目漱石)
  [こころつながり]
こころの処方箋(河合隼雄)
  [くよくよ悩んでるのなら、猫写真で癒されるといいよ]
海ちゃん(岩合光昭・岩合日出子)
  [女の一生(海ちゃんは猫だけど)]
白洲正子自伝(白洲正子)
  [自分の人生を生きる]
かもめのジョナサン(リチャード・バック)
  [こんなふうに生きてきたいものです]
できればムカつかずに生きたい(田口ランディ)
  [ムカつかずに生きてる人がここにいます]
さくらえび(さくらももこ)
  [身辺エッセイ]
ぐるりのこと(梨木香歩)
  [社会とか環境とか命とかについて、いろいろ考えさせられます]
沈黙の春(レイチェル・カーソン)
  [沈黙つながり]
沈黙(遠藤周作)
  [キリスト教はさておき、とりあえずキリスト以前のローマの話でも]
ローマ人の物語(1・2)(塩野七生)
  [著者がライフワークとする大長編の最初の部分つながり]
ダーク・タワー(1)ガンスリンガー(スティーヴン・キング)
  [はるかな冒険の始まりつながり]
深夜特急(沢木耕太郎)
  [夜中つながり]
真夜中の五分前(本多孝好)
  [恋人が死ぬ話]
野菊の墓(伊藤左千夫)
  [年上の彼女つながり]
ぼくは勉強ができない(山田詠美)
  [バーで働く女つながり]
ボッコちゃん(星新一)
  [ピリッとしたショートショートついでに、ピリッとした箴言を]
ゲーテ格言集(ゲーテ)
  [快刀乱麻、ズバッと斬ります]
堕落論(坂口安吾)
  [さらに斬っては捨て、斬っては捨て、向かいところ敵なし]
燃えよ剣(司馬遼太郎)
  [モテモテ男子の話]
ニシノユキヒコの恋と冒険(川上弘美)
  [冒険にも、いろいろあるよ]
シャーロックホームズの冒険(コナン・ドイル)
  [殺人事件にも、いろいろあります]
異邦人(カミュ)
  [若い世代の微妙な繊細さを描いた現代の古典]
悲しみよこんにちは(サガン)
  [父と娘のフクザツな関係]
キッドナップ・ツアー(角田光代)
  [ヘンテコなコンビのロードノベル]
愛のひだりがわ(筒井康隆)
  [ワンちゃんの話]
凍える牙(乃南アサ)
  [ワンちゃんの話]
雨はコーラがのめない(江国香織)
  [同じ「雨」でもぜんぜん違うんだけど]
黒い雨(井伏鱒二)
  [戦争の傷跡です]
朗読者(ベルンハルト・シュリンク)
  [罪があばかれる]
罪と罰(ドストエフスキー)
  [どちらも妹の婚約/結婚が、けっこう重要でした]
走れメロス(太宰治)
  [むやみやたらと若者が疾駆する話]
太陽の塔(森見登美彦)
  [京都が舞台]
羅生門・鼻(芥川龍之介)
  [京都が舞台]
金閣寺(三島由紀夫)
  [放火する話]
重力ピエロ(伊坂幸太郎)
  [ピエロといえば道化、道化といえば太宰]
人間失格(太宰治)
  [主人公がヘナチョコ]
しゃばけ(畠中恵)
  [人間じゃない奇妙なキャラがいっぱい]
不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)
  [数学の先生が書いた本つながり]
若き数学者のアメリカ(藤原正彦)
  [数学つながり]
フェルマーの最終定理(サイモン・シン)
  [数学つながり]
博士の愛した数式(小川洋子)
  [80分しかもたない記憶から、まったく同じ1日が繰り返す世界へ]
ターン(北村薫)
  [閉じた世界からの解放]
自閉症だったわたしへ(ドナ・ウィリアムズ)
  [もうひとりの自分に出会う]
ブランコのむこうで(星新一)
  [ブランコつながり]
ぶらんこ乗り(いしいしんじ)
  [姉と弟の物語]
山椒太夫・高瀬舟(森鴎外)
  [舟つながり]
神様のボート(江國香織)
  [神様といえば天使]
天使のみつけかた(おーなり由子)
  [天使といえば天国]
天国の本屋(松久淳+田中渉)
  [本屋が舞台]
檸檬(梶井基次郎)
  [梶井は檸檬、芥川は蜜柑]
蜘蛛の糸・杜子春(芥川龍之介)

ということで、以上、おわり!
はー、なんだかけっこう当たり障りのないつながりが多くなってしまった気がします。その一方で牽強付会も多いし。うーん、実際やってみると、なかなか難しいものですね。集英社のバイトのコバタくんを、またちょっと見直しました。
皆さんも一度、自分なりの100冊ループを考えてみるといいですよ。
posted by 清太郎 at 00:20| Comment(8) | TrackBack(2) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すごいですね!ちょっと感動しました。
全部考えるのにどのぐらいかかったんでしょうか。
おつかれさまでした。
Posted by 通りすがりのものですが at 2007年07月07日 19:48
ありがとうございます。
朝と昼休みと夜、あいてる時間をすべて使いました。はー。もっと推敲すればもっとよくなるんでしょうけど、ま、ブログだし、ということで。
Posted by 清太郎 at 2007年07月07日 21:07
お疲れ様です!
「博士の愛した数式」→「ターン」
のつながりで、「おーーっ!」と思わず言ってしまいました(と言うか、単に知ってる本が連続してるのがその付近だけだった、ってのもあると思いますが)。
ボクも、ブルーバックスで何か作ってみようかなぁ…(無理
Posted by 黄黒真直 at 2007年07月08日 20:50
そういう「おー」というリンクがあちこちにあるとおもしろいのですが、なかなか難しいものです。
ブルーバックスでも何でも、こういうのを考えるのは楽しいと思いますよ。
Posted by 清太郎 at 2007年07月09日 13:34
おおっ、すごい。
ちなみに、「火車」→「点と線」は、中国語の「火車」が日本語の「汽車」であることを思うと、「鉄道つながり」とも言えますな(笑)
なお、「八甲田山死の彷徨」が城山三郎の作品になっちゃってます…。新田次郎とは次郎三郎つながり、なんて。
Posted by 友人K at 2007年07月10日 23:20
ははは、失礼しました。直しておきました。元のリストの隣が城山三郎の「硫黄島に死す」だったので、うっかりです。(まあ、城山三郎の八甲田山、というのも、なんとなくありそうな気がするけど。)
「火車」は、そうか、中国の人は「鉄道小説なのか!」などと誤解したりするわけですね。「何だよー、電車出てこないじゃんかよー」なんて。
となると、百ケンのは「阿房火車」になってるのかなあ。なんだかよくわからない。
Posted by 清太郎 at 2007年07月11日 13:36
 ずうずうしくも3連チャンでコメントしています。

 今日ようやく「新潮文庫の100冊」の昨年との比較記事をアップしました。

 そこでようやく清太郎さんのコメントに返事を書き、ならば清太郎さんのブログにおじゃましてコメントを残そうと思って夏の文庫フェアの記事を読むたびにコメントしたくなってしまいました。すみません。

 この〈なになに繋がり〉という説明を入れて次にナビゲートするというのはいいですね。本来はこういう一覧を見開きで載せてくれると僕ら本好きはワクワクしますよね、きっと。

 欲を言えば、マルチナビというか、ネットワーク状に複数の本と繋がっていればいいなぁ。新潮文庫こそ来年はチャレンジしてほしいです。
Posted by アスラン at 2007年07月24日 02:44
ていねいにコメントありがとうございます。
その「ネットワーク状」のつながり、私も考えましたよ! テーマが同じとか設定が似ているとか同じ作家とか、いろんなルートを介した「次の本」が見つけられるとおもしろそうですよね。
想像すると、とっても楽しい。でも、実際につくるのはタイヘンそうだけど‥‥。
Posted by 清太郎 at 2007年07月24日 12:50
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