一部の紀伊國屋書店ファンの人しか知らないことですが(私もファンじゃないので、あんまり知らない)、紀伊國屋書店では年末になると、「キノベス=紀伊國屋書店スタッフが読んで選んだ今年のベストブック」を発表しています。たぶん2003年から。
去年までのは、まあ言ってみれば、ありがち、というか、この程度だろうなあ、というか、読書が趣味ですとかいいながら現代日本のあんまり年寄りではない作家の小説以外はあまり読んでないのかなあ、というか(去年の1位はカズオ・イシグロの「私を離さないで」だったけどね)、だから本屋大賞ってああなっちゃうのか、というか、そんな感じだったのですが、今年の「キノベス2007」を見て、いや、思いをあらためました。襟を正しました。さすが本屋さんです。
「紀伊國屋書店全スタッフから『実際に読んでみて面白かったのでお客様にぜひおすすめしたい本』という主旨で募りました。約550件の応募に対し、社内の『自他ともに認める本好きのスタッフ』十数名が選考委員として最終投票。」
という言葉に、あまり偽りはないようです。(っていうか、単にたまたま私好みになっただけかもしれないけど。)
貼り付けておきますと、こんな感じ。
1 サクリファイス 近藤史恵 新潮社
2 夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦 角川書店
3 川の光 松浦寿輝 中央公論新社
4 世界屠畜紀行 内澤旬子 解放出版社
5 給食番長 よしながこうたく 長崎出版
6 生物と無生物のあいだ 福岡伸一 講談社
7 怖い絵 中野京子 朝日出版社
8 国のない男 カート・ヴォネガット 日本放送出版協会
9 先生とわたし 四方田犬彦 新潮社
10 ピクトさんの本 内海慶一 ビー・エヌ・エヌ新社
11 17歳のための世界と日本の見方 松岡正剛 春秋社
12 なぜ社員はやる気をなくしているのか 柴田昌治 日本経済新聞出版社
13 鹿男あをによし 万城目学 幻冬舎
14 男子 梅佳代 リトル・モア
15 映画篇 金城一紀 集英社
15 武士道シックスティーン 誉田哲也 文藝春秋
17 インシテミル 米澤穂信 文藝春秋
18 おひとりさまの老後 上野千鶴子 法研
19 しずく 西加奈子 光文社
20 ねにもつタイプ 岸本佐知子 筑摩書房
21 あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します 菅野彰×立花実枝子 新書館
22 星新一 一〇〇一話をつくった人 最相葉月 新潮社
23 ホームレス中学生 田村裕 ワニブックス
24 有頂天家族 森見登美彦 幻冬舎
25 頭のうちどころが悪かった熊の話 安東みきえ 理論社
25 神は妄想である リチャード・ドーキンス 早川書房
25 獣の奏者 1闘蛇編 上橋菜穂子 講談社
28 街場の中国論 内田樹 ミシマ社
29 ぼくには数字が風景に見える ダニエル・タメット 講談社
30 とりつくしま 東直子 筑摩書房
「川の光」が3位かぁ、とか、「ホームレス中学生」はやっぱり入るのね、とか、あれは入らないのか、とかいったことは多少ありますが、いやもう、「世界屠畜紀行」が4位で「給食番長」が5位で「ピクトさんの本」が10位で「男子」が14位というだけでも、かなりのステキランキング。
ただし、5位の「給食番長」は、以前からずっと読みたくてしかたがないんだけど、絵本ってなかなか探しづらいので未読(本屋さんの店頭で、一般書籍ならともかく、絵本を「どこにありますか?」ときいて教えてもらって、そのまま立ち読みして帰るのは気が引ける)。
「国のない男」と「先生とわたし」は、そのうち読まねば、と思ってるところ(今年ヴォネガット死んじゃったし)。「星新一」は、うかうかしてたら、今年の日本SF大賞に選ばれてしまった。
「頭のうちどころが悪かった熊の話」は、書店員さんになんだか人気がある気がします。私もリブロ池袋店で強烈にこれをすすめていたPOPを見なかったら、知らないままでした。(こういうのが本屋大賞にノミネートされればいいのにね。)
ちなみに、2005、2006年のキノベスは、こんなでした。
キノベス2005
キノベス2006
紀伊國屋書店に対抗して、ブックファーストやら旭屋書店やら、あるいは文教堂とかブックオフとかでもいいけど、各書店チェーンが「スタッフが選んだランキング」を発表して、それぞれのセンスを競えば、おもしろいだろうに。そうなったらぜひ、このブログでは、各ランキングを比較して「ランキングのランキング」をつくりたいと思います。(余計なお世話だけど。)
2007年12月18日
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『世界屠畜紀行』 内澤旬子 著 (解放出版社)
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絵自体は苦手な部類の絵なんですが、
「給食番長」においては、あの絵、許せる。
最初「TVde読み聞かせ」的ローカル番組のコーナーで博多弁での読み聞かせを見たのですが、
めちゃめちゃツボでした。
本の内容的に、標準語より地方の言葉のほうがぐっときます。
皆さんも脳内で自分のお国言葉に変換してご堪能を。
「給食番長」、いいですか! うわー、読みたい読みたい!
私もあの絵、どっちかというと好みではありませんが、しかしあの絵で「給食」で「番長」というところが、たまらなくそそられます。
キノベスにランクインしたから、紀伊國屋書店に行けば、すぐ見つかるでしょうね。って、近くに紀伊國屋ないけど。
ミホノフさん。
本屋大賞は、すでに、若者向け直木賞みたいな感じになっちゃってるから、放っておけばいいのです。もっとこだわり(というかクセ)のある、ユニークなセレクトを期待したいものです。
「頭のうちどころが‥‥」、うん、たしかに、わかるわかる。「アンアン」なんかに似合う感じだと思います。個人的には、えーと、タイトル何だっけ、おなかの中におさまった生き物が、順繰りに自分がおなかの中におさめちゃった生き物のことがかわいそうで泣いてる話が、昔話みたいで好みです。
ところ「ピクトさんの本」、ああしたお遊び感覚の本はいいですよね。看板にピクトさんが出ているのを見かけるたびに「ああピクトさんは今日もがんばっているんだなあ」と思っちゃいます(笑)。あの本のなかに、私は物語の存在をたしかに感じました。
いつも楽しく拝見しております。
昨日ちょうど「ピクトさんの本」を初めて本屋さんで読んでみて、とてもおもしろく感じていたところにこの記事が書かれたので、コメントしました☆
ランキングのランキング、楽しみにしています!!
本屋大賞、「本屋さんが売りたい本」っていうから、でももう一歩ふみこんで、「こんなにおもしろいのに、なんかちょっと敬遠されてて読まれていないようなもったいない、現場の本屋さんだけが知ってるオモシロ本はこれなんです!」みたいなのを期待しちゃうんですよね。だから、放っておいても何かの賞に選ばれて売れることになりそうな本は、あえて除外して欲しい、というのは、本屋さんに期待しすぎなのかなあ。その点、今回のキノベスは、ふだん本屋さんに通っていても、このリストを見て新たな出会いがありそうな感じで、いいと思いました。
「ピクトさんの本」、八方美人男さんも高評価ですか。とぼけた真面目っぷりが、いいですよね。思わずピクとさんを応援したくなります。
mmmさん。
こんにちは。おお、「ピクトさんの本」、意外に人気ですね。本の評価の基準が「感動して泣けるかどうか」に偏っている昨今、こういう本は大切にしたいものです。
ランキングのランキングができるほど、書店のランキングが出てくることを期待してます。