2007年12月16日

2007読書界番付

毎年12月になると、ヒット商品番付が発表されます。日経MJ(日経流通新聞)によるもの、SMBCコンサルティングによるもの、今年はどちらも横綱にニンテンドーDSおよびWiiが選ばれ、先日ちょっと話題になってましたね。
ということで、真似してここでも考えてみました。
「2007読書界番付」。

どれだけ売れたか、だけではなく、話題性やインパクトの大きさ、将来性、私の個人的趣味といった各要素を勘案したうえで、順位をつけてみました。「出版界」とするとちょっと限定的になるので、「読書界」ということで。またヒット商品番付同様、東と西、というのに特に意味はありません。

「えーっ、ちょっと、これはないでしょ、こっちの方が番付は上だよー」
とか、
「あれが入ってないじゃないの」
とかいったご意見・ご感想がございましたら、どうぞお寄せください。(なんだかうまく表組みができなかった)


読書界番付

西
ハリポタ最終巻 横綱 ケータイ小説
ドストエフスキー 大関 ブログコミック
千代田区立図書館 関脇 ドラえもん最終話同人誌
集英社文庫の人間失格 小結 DS文学全集
無料ゲド本 前頭1 ジャンプSQ
広辞苑第六版 同2 ミシュラン東京版
機械萌え写真集 同3 池澤夏樹個人編集世界文学全集
ガガガ文庫&ルルル文庫 同4 夏目漱石
僕はパパを殺すことに決めた 同5 女性の品格
一瞬の風になれ 同6 多摩美術大学の新図書館

簡単に解説しておきますと、ハリポタ最終巻とケータイ小説が横綱というのは、まあ動かないところでしょう。どちらも出版界のみならず社会全体で大きな話題となりました。ハリポタの日本語版は来年7月23日発売とのことで、そちらは来年の番付に載りそうです。ケータイ小説は、ケータイで読む作品はもとより、「恋空」など書籍化された作品もベストセラーになりましたね。
大関以下は、異論のあるかたも多いでしょうが‥‥、ドストエフスキーは、光文社の新訳「カラマーゾフの兄弟」の大ヒットを通じて、注目されました。21世紀になっても、やっぱりおもしろいものはおもしろいのですね。ブログコミックは、「電車男」をはじめとする昨年までの書籍に加えて、今年は「となりの801ちゃん」「ぼく、オタリーマン。」「今日の早川さん」などのコミックものの書籍化が目立ちました。
5月にリニューアルした千代田区立図書館は、素敵なインテリアやITを活用したサービス、システムに加え、11月には電子書籍のオンライン貸出サービスを始め、図書館の新たな可能性を示しました。ドラえもん最終話同人誌は、著作権問題との絡みでニュースになりましたね。あれほど儲けなければ、見逃されただろうに‥‥。
「デスノート」の小畑健を表紙イラストに起用した集英社文庫「人間失格」、手軽に文学作品が読める「DS文学全集」、どちらも名作を、中身はそのままに、インターフェイスを工夫することで、より親しみやすいものといえるでしょう。先のドストエフスキーといい、今年はハードな文学作品にふれる人が、少しだけ多くなったように思います。
無料ゲド本110万部の配布は、「あー、そんなこともあったっけ」という人がいるかもしれませんが、今年の出来事ですよー。休刊した月刊少年ジャンプに代わって創刊された「ジャンプSQ」は、2日で50万部を完売してさらに増刷と大成功でした。来年、急落して休刊がニュースにならないといいのだけれど。
広辞苑は10年ぶりの改訂です。「うざい」「ニート」などの新語の追加がニュースでとりあげられました。発売は年明けなんですけどね。内容についてかなりの批判も巻き起こったミシュラン東京版は、あっという間に完売して重版、それでも品薄。店頭に並べれば売れるんでしょうが、あえて販売部数をおさえているようです。
写真集で今年特筆すべきものといえば、やはり「工場萌え」「ダム」「恋する水門」などの機械萌え写真集でしょう。無機的な萌えです。池澤夏樹個人編集世界文学全集は、コアな本好きの間では話題になりましたが、果たして成功するのでしょうか。来年に期待です。
ドストエフスキーに続き、夏目漱石も、江戸東京博物館で夏目漱石展が開催されたりしてちょっと注目を浴びました。直筆原稿の「坊っちゃん」も出版されましたし。小学館初のライトノベルレーベルがガガガ文庫とルルル文庫です。小学館らしく、言葉遣いなどの校正がきちんとしてるんでしょうか。
供述調書を引用した草薙厚子「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)は、プライバシー侵害やら秘密漏示容疑で社会的に問題になりました。Amazonではいまだに高値がついています。「女性の品格」は、ただのベストセラーランキング1位。
今年の本屋大賞で、佐藤多佳子「一瞬の風になれ」が選ばれてしまったのは、まあ予想できたことではあるんだけど、ちょっとつまんないことでした。なんだかもっと埋もれた作品を大紹介するような賞があってもいいのになあ。伊東豊雄のデザインによる多摩美術大学の新図書館は、建築方面でけっこう話題になりました。ガラスとコンクリートで構成された、軽やかな建物。海外ではここ数年、メジャーな建築家が本気でデザインした美麗な図書館がいくつもできてますが、日本でももっとこういう素敵図書館ができればいいと思います。

そのほか、ランキング外になったものを挙げると‥‥。
・AneCan創刊(あんまり広告がとれてないとウワサされてたけど、どうなのかしら)
・ブックオフオンラインがスタート(あっという間に品薄になってしまいました)
・丸善オンラインストアがスタート(Amazonとの提携によるものです)
・もったいない図書館が開館(福島県矢祭町の図書館。蔵書はすべて全国からの寄贈本です)
・死亡筆記(中国で刊行された「デスノート」が社会問題を生み出しました)
・国際漫画賞創設(ローゼン麻生の肝いりです)
・中原中也生誕百年
・SF世界大会が横浜で開催
・坂の上の雲ミュージアムがオープン(安藤忠雄の設計です)
・Amazon「Kindle」発売

一年後、あらためて見返すと、「何これ、こんなことあったっけ?」とかいった寂しいことになってるものもけっこうあるんだろうなあ‥‥。
posted by 清太郎 at 20:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私的今年の読書番付は、
司馬遼太郎『坂の上の雲』。
以上です。

って、電車に乗らなくなると、こんなにも読書時間を確保できないものかとびっくり。
そんな状況下で『坂の上の雲』なんぞに手を出したので、なかなかはかどらず…。やっと第7巻が終わりそう。今年中に第8巻(=最終巻)読み終えるかしら。年末年始に東京に帰る新幹線車中で何とかなるかなあ。
Posted by 友人K at 2007年12月17日 23:06
友人Kくん。
ははは。たしかに私も、電車通勤じゃなければ、毎日の読書量はかなり減りそう。電車に乗らないと、本を読むための時間をつくる必要があるもんね。奥さんをほっぽりだして、ひとり読書にふけるわけにもいかないし‥‥。
それにしても、都市部の人や学生の読書時間って、電車通勤時間によるところがかなり大きいですよね。出版業界に、もし石油業界だとかマクドナルドくらいの力があったら、通勤電車のラッシュが緩和されて、もっと本がゆったり読めるようになっていたはず。あるいは通勤時間がさらに長くなるか。
Posted by 清太郎 at 2007年12月18日 12:06
多くの方が忘れていると思いますが、澁澤龍彦の没後20年ということで仙台文学館では澁澤龍彦幻想文学館なんてイベントがやってたりもしました。
というわけで(どういうわけだ!)仙台の書店ではジュンク堂さんなんかが協賛していてジュンク堂に行くと龍彦の特集が棚を占領したりもしていました…でも澁澤龍彦!
といってもほとんどの人は知らないようで「ほら!ほら!」
とフランス詩好きな友人に教えたりしたのですが、「ああ、サドとコクトーを紹介した人なの、興味ないなぁ。」
と、とても冷たい反応でした…。
でも仙台文学館がそんなマイナーな(僕の周りだけ?)龍彦の展示会をするというチャレンジ精神を見せてくれたので僕はとても嬉しかった!でも仙台以外では話題にすら上がってなかったというのは悲しいです!(笑)
Posted by 幾都流郷 at 2007年12月18日 12:40
幾都流郷さん。
おお、そういえば、澁澤龍彦、そうでしたね。ユリイカでも特集号がありました。
もう没後20年なんですよねー。
しかし、一般的にはやっぱりそんなにマイナーなものなんですね。フランス詩好きなお友達の言葉が、ちょっと哀しいです。それを思うと仙台文学館、エライ!
Posted by 清太郎 at 2007年12月18日 13:41
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