2007年07月23日

読書感想文の書き方 「はっぱじゃないよ ぼくがいる」を例に

梅雨明け前のどんよりした天気が続く中、子どもたちは夏休みに入りました。昔と違って冷暖房完備の教室が多くなっている現在、子どもに夏休みがどうして必要なのかよくわからないわけですが(今の夏休みの存在理由って、「思い出づくりのため」以外にはないと思う)、ともあれ、夏休みといえば読書感想文。このブログにも「読書感想文」で検索してたどりつく人が多くなっているようです(っていうか、メインサイトの「一行読めば書ける読書感想文」の方はどうしたのよ)。

ということで、せっかく来ていただいた、読書感想文に悩んでいる皆さんが失望しないように、今日は読書感想文の書き方を指南することにしましょう。「一行読めば書ける」なんていうトリッキーなものじゃないから、だいじょうぶだよ!
題材は、今年の課題図書から選びました。姉崎一馬「はっぱじゃないよ ぼくがいる」(アリス館)です。小学校低学年の部の課題図書。amazonから内容を紹介すると、
《葉っぱを見ていると、穴があいているものに気づくことがあります。穴があく理由は、虫が食べたり、風でこすれたりとさまざまです。とくに小さい子どもたちにとって、葉っぱの「目」はとても気になるものです。子どもたちと同じ目の高さでいっしょに見ると、そこには、子どもだったあのころの自然がまっています。あなのあいたはっぱが、森へのキップです。日本の森を撮りつづける写真家、姉崎一馬の写真絵本。 》
本屋さんでパラパラ見たところ、写真もキレイだし、オトナでも楽しめる一冊です。

では、実際に、この本に即して読書感想文の書き方を解説していきます。

(1)導入部
感想文の始まりです。「えーと、どうやって書き始めよう」と、いきなりここで悩んじゃう人は多いと思います。思い悩んだ挙げ句、「今日、○○という本を読みました」なんて書いちゃったりするウッカリさんがいるかもしれませんが、ブブー、それは浅はかというものです。
行数をかせぐためにも、導入のひと言を入れてみましょう。といっても、難しく考える必要はありません。読んだ本と関係ある何かを書くだけでいいのです。
「はっぱじゃないよ ぼくがいる」でいうと、たとえば、こんな感じ。

 道におちている葉っぱのもようが、人の顔のように見えて、びっくりすることがあります。


別に奇をてらわなくても、素直な一文でじゅうぶんです(上級者になると、ここで原稿用紙半分くらい書けるようになります)。段落の最初は1マス下げましょうね。

(2)あらすじ紹介
次に、本のあらすじや内容を手短にまとめてみましょう。課題図書である「はっぱじゃないよ ぼくがいる」であれば、先生も内容を知ってるでしょうが、「本の内容を知らない人に、これがどんな内容の本なのか、説明する」というつもりで書くことが大切です。
たとえば、こんな感じです。

 「はっぱじゃないよ ぼくがいる」は、そんな、顔のような葉っぱを集めたしゃしん集です。虫が食べてあながあいたり、かれて茶色くなったりしてできた、人の顔をした葉っぱ。ページをめくるたびに、へんな顔、おこり顔、ぼんやりした顔、「あ」と言ってる顔、えだについたみどりの葉っぱ、ゆきの上におちたかれ葉など、いろいろな顔、いろいろな葉っぱが出てきます。


あるいはひと言、簡単な感想を書き添えてもいいですね。最後の「葉っぱが出てきます」を、「葉っぱが出てきて、とても楽しいです」などとしてみても、いいかと思います。
読書感想文が苦手な人の中には、このあらすじ部分で文字数をかせごう、とする人が多いのではないでしょうか。でも、ブブー、ダメです。誰も知らないような本について書くのならともかく、課題図書や、一般的な読書感想文向けの本を題材にする場合は、ポイントだけを簡潔にまとめるべきです。だらだらとあらすじが続くと、なんだか頭が悪そうに見えますし、読み手(学校の先生)に、「こいつ、あらすじで文字数をかせごうとしてるな」と悪印象を与えかねません。

(3)自分の経験
あらすじの次に書くのは、もちろん本の感想! と思った人は、ブブーです。本を読んだ感想なんて、ふつう「楽しかった」「つまらなかった」「感動した」「戦争はいけないと思った」などなど、そんな程度。たくさん書けるものではありません。「読書感想文」だから、素直に感想だけ書く、そんな正直者は泣きを見るのです。

では、感想の代わりに、何を書くのか。私がおすすめするのは、「自分の経験」です。本の内容に関連した、自分の経験や思い出を書いてみるのです。ふつうの作文のような出来事の記録なら、本の感想に比べれば、少しは書けるはずです。そのうえ、読み手(学校の先生)にも、「この生徒は、この本を、自分の経験に引きつけて読んでいるな」と思わせることができて、一石二鳥です。
「はっぱじゃないよ ぼくがいる」では、こんな感じです。

 ぼくも、葉っぱの顔を見つけたい、と思って、さがしてみました。
 そうしたら、葉っぱではないけれど、人の顔に見えるものを見つけました。台所の天じょうのすみに、黒いしみがあって、それが人の顔に見えるのです。よく見ると、ないているような、おこっているような、ちょっとこわい顔です。
 お母さんに、
「あそこにあるしみ、人間の顔みたいだね」
と言うと、お母さんは、
「あら、今ごろ気づいたの。あのしみは、おばあちゃんが死んだあと、うかびあがってきたのよ。もしかしたら、おばあちゃんのれいかもしれないわね」
と言いました。お母さんは、ねたきりだったおばあちゃんに、毎日いじわるをしていたので、天じょうの顔は、本当におばあちゃんのれいかもしれません。


ちなみに、これは本当にあった真実のことでなくてもかまいません。本の内容に関係のある出来事が思いつかなければ、先生にばれない程度に、勝手にでっち上げてみましょう。
読書感想文上級者になると、この「自分の経験」を先に考えた後で、それにふさわしい本を選ぶ、ということができるようになりますよ。

(4)本の内容に戻って、作者の意図について考える
さて、あとはまとめるだけです。起承転結の「転」として持ちだした「自分の経験」を、ふたたび回収し、読んだ本に関連づけ、おさめるところにおさめる、という作業です。
この部分の内容として書きやすいのは、「作者の意図について考える」ことです。本の中の登場人物の気持ちではありませんよ。本を書いた作者の気持ちです。
「そんなこと、わかるわけがない。難しい」と思うかもしれませんが、そう、わかるわけがないから、いいんです。
これが登場人物の気持ちならば、たしかに、わかりやすいかもしれません。でも、わかったからといって、それが何なのですか。「最後まで口には出さなかったけど、タカシはユキコのことが好きだったのだと思います」と書いて、その後は、何を書いたらいいというのでしょう。「僕だったら、ぜったい告白すると思います」程度ではないでしょうか。すぐに、書くことに詰まってしまうはずです。
いいですか、わかるわけのない作者の考えだからこそ、いいかげんなことがたくさん書けるのです。読書感想文は、○×の問題を解くのではありません。勝手に思いついたことを、勝手に書く。それが、読書感想文の秘訣なのです。
「はっぱじゃないよ ぼくがいる」では、こんなふうにまとめてみました。

 「はっぱじゃないよ ぼくがいる」に出てくる葉っぱの顔も、もしかしたら、人の顔に見えるただのもようではないかもしれません。森の中で自さつしたり、ころされてうめられたりした人のれいが、葉っぱの上にあらわれているのです。そうして、うちの天じょうにうかび上がったおばあちゃんの顔のように、にくらしい人や、自分をころした人のことを、しずかに、じっと、にらんでいるのです。
 この本のさくしゃは、おんねんにみちたそうした顔を集めて本にすることで、もうだれにもとどくことのないうらみ、わすれられようとしているかなしみを、死んでしまった人たちにかわって、うったえかけているのではないでしょうか。たにんを死においやっておきながらのうのうとくらしている人たちへ、そして、それをゆるしてしまっている世間へ、社会へと、せいいっぱい、ひょうめいしているのです。「はっぱじゃないよ ぼくがいる」という題名にも、そうした気もちがこめられているのだと思います。
 一見したところ、ゆかいでおかしいだけのしゃしん集に思えるこの本には、弱いものにたいするさくしゃのふかい思いやり、そして正ぎをあいする心が、つまっているのです。


以上で、20字×56行。表題などを含めると、400字詰め原稿用紙3枚ぴったりになります。
原稿用紙に書き写すときは、誤字脱字に気をつけてくださいね。
posted by 清太郎 at 22:50| Comment(5) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんて実用的で素晴らしい!
とはいえ、さすがの実例でこわすぎます(^^;
夏ですねえ。
Posted by シキ at 2007年07月24日 23:20
私もこれを書いたらこわくなったので、あとで本屋さんに行っても、この本を開くことができませんでした‥‥。
Posted by 清太郎 at 2007年07月25日 00:09
それで、このブログを見た小学生のコウタくんあたりが、「よし、今年の読書感想文はこれにしよう!」と言ってこのブログを丸写しにして意気揚々と始業式に臨んだら、
実はクラスの人気者のユミちゃんもこのブログを見ていて全く同じ文章を書いていて、それで3日後ぐらいに先生に呼ばれて、
「2人で宿題見せ合ったでしょ」
とか怒られて、それがクラス中にも知れ渡って「ヒューヒュー」なんてもてはやされちゃって、
コウタくんとユミちゃんはなんか互いに気まずくなっちゃうんだけど、周りがあんまり言うもんだから気になりだしちゃって、
そして15年後ぐらいに清太郎さん宛てに結婚式の仲人のお願いが来るんですね、きっと。

って言うか、「起承転」までは和やかなのに、「結」でいきなり変わりすぎです。怖いです。
Posted by 黄黒真直 at 2007年07月27日 23:01
でも逆に、もともとコウタくんはサッちゃんといい仲だったりして、なのに、ユミちゃんと同じ感想文になってしまったりすると、
「ちょっとコウタ! なんでユミと同じなのよ、いつ宿題いっしょにやったのよ!」
ということになって、ひとつの恋を終わらせてしまうことになるやもしれません。気をつけねば。
Posted by 清太郎 at 2007年07月28日 12:34
完璧な起承転結の読書感想文ですごいとおもいます。こちらを参考に今年の読書感想文を書いてみたいと思います。
ユミちゃんやコウタくんたちのようになると困りますので(笑)あまり知られていない本で挑戦しようと思います。

まだ宿題を全部終わらせていなくてよかったです^^
Posted by みぃもん at 2013年08月14日 14:11
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