【第I集】全12巻
1 オン・ザ・ロード(ケルアック)
2 楽園への道(バルガス=リョサ)
3 存在の耐えられない軽さ(クンデラ)
4 太平洋の防波堤/愛人(デュラス)
悲しみよこんにちは(サガン)
5 巨匠とマルガリータ(ブルガーコフ)
6 暗夜(残雪)
戦争の悲しみ(バオ・ニン)
7 ハワーズ・エンド(フォースター)
8 アフリカの日々(ディネーセン)
やし酒飲み(チュツオーラ)
9 アブロサム、アブロサム!(フォークナー)
10 アデン、アラビア(ニザン)
名誉の戦場(ルオー)
11 鉄の時代(クッツェー)
12 アルトゥーロの島(モランテ)
モンテ・フェルモの丘の家(ギンズブルク)
【第II集】全12巻
1 灯台へ(ウルフ)
サルガッソーの広い海(リース)
2 失踪者(カフカ)
カッサンドラ(ヴォルフ)
3 マイトレイ(エリアーデ)
庭、灰(キシュ)
4 アメリカの鳥(マッカーシー)
5 クーデタ(アップダイク)
6 軽蔑(モラヴィア)
見えない都市(カルヴィーノ)
7 精霊たちの家(アジェンデ)
8 パタゴニア(チャトウィン)
老いぼれグリンゴ(フエンテス)
9 フライデーあるいは太平洋の冥界(トゥルニエ)
黄金探索者(ル・クレジオ)
10 賜物(ナボコフ)
11 ヴァインランド(ピンチョン)
12 ブリキの太鼓(グラス)
ジャック・ケルアックの「路上」が「オン・ザ・ロード」として新登場! 青山南訳!というのがなんだかとても池澤夏樹のイメージ(正確には、ほとんど読んだことのない池澤夏樹に対する私の勝手なイメージ。ちなみに関川夏央と微妙に混じっちゃってます)にぴったりで、おお、そう来たか!と思ったのだけど、こうやって全ラインナップを見せられると、名前しか知らない(あるいは名前すら知らない)作家と作品ばかり、ということもあって、なんだかよくわかんないけど、まあこんなもんなのかな、というのが正直な感想です。
細かいことをいえば、いかにも文学全集らしい大艦巨砲主義というか「詩は別腹」なのだなあとか(T. S. エリオットの「荒地」という選択肢はなかったのか)、ブッツァーティとかタブッキとかユルスナールとかを入れてほしかったとか、バルガス=リョサとフエンテスがあってG・ガルシア=マルケスやボルヘスはないのかとか、ポストコロニアルな作家がもっとあってもいいんじゃないのとか、ヴォネガットとかフィリップ・K・ディックあたりで個性を主張してもいいのにとか、きりがないのだけれど、これを契機に、品切れ重版未定だった作品が手に入りやすくなったりとか文庫になったりとか、そういうことになるといいなあ。
‥‥というだけで終わってしまってはコラムにならないので、もう少し付け加えると、先週何度も強調してきた「対決」。これをここでもまた声を大にして言いたい。各出版社は傍観してないで、河出書房新社の池澤夏樹版文学全集に真っ向から対決してはどうであるか。
たとえば‥‥
講談社:村上春樹個人編集・安西水丸デザイン「世界文学全集」
集英社:島田雅彦/高橋源一郎/山田詠美共同編集「新しい世界文学全集」
講談社:「ドラゴン桜」の三田紀房監修「東大に入るための世界文学全集」
幻冬舎:村上龍責任編集「13歳の世界文学全集」
新潮社:北村薫個人編集・高野文子装画「少年少女のための世界文学全集」
筑摩書房:クラフト=エヴィング商會装丁「世界文学全集の森」
本の雑誌社:椎名誠/目黒孝二編集・沢野ひとし画「世界どかどか文学全集」
太田出版:東浩紀ほか編・ばらスィーほか画「萌える世界文学全集」
そうして、
「えーっ、今月は、集英社版も本の雑誌社版もブッツァーティの『タタール人の砂漠』なの! わー、集英社版は装画が鳥山明だ! わー、でも本の雑誌社版の椎名誠の砂漠写真もいい!」
というようなことになれば、それなりに話題になって、盛り上がると思います。
種田山頭火編 世界とぼとぼ文学全集 全2巻
マルメラードフ編 世界泥酔文学全集 3ページ半
以上が、私の企画です。マルメラードフは「罪と罰」の登場人物です。巻数は、編者の働き次第で、増えるかも知れません。でも、きっと増えません。
『罪と罰』の巻はせっかく主人公が美青年なので、人気マンガ家やイラストレーターに装画を描いてもらえばティーンにバカ売れするかも・・・。その路線で行くか、妹萌えを狙うかは迷うところですが。
個人的には「暗黒文学全集」などを出してほしいです。ホラー、怪奇、バッドエンドなど、読んでいると精神が不安定になるシロモノ。
別に満腹文学じゃなくてもいいから、東海林さだおの編んだアンソロジーというのを見てみたいですね。なかなかセンスがよさそう。
泥酔文学全集は、中島らもに、死ぬ前にやっておいてほしかった(あるいは企画があったのに、3ページ半どころかラインナップすら決まらないうちにおじゃんになってしまっていたのかもしれない)。ブコウスキーとかが入ってるのね。しかも第1巻は、池澤夏樹と同じケルアックの「路上」で。
あさひさん。
萌えるドストエフスキー、いいですね。それなら「罪と罰」は妹萌えにして、腐女子向けには「悪霊」ということで、イラストレーターを起用したいところです。
暗黒文学全集は、あまりの暗澹たる内容に、巻を追うごとに購読者が減っていきそう‥‥。
当方過疎村ブログで紹介させていただきました。情報ありがとうございます。