2007年04月25日

朗読カラオケ

日本人の大好きなカラオケ。
でも、よく考えてみると、カラオケってずいぶん不平等である。不均衡である。甚だしく偏っているのである。
どのように偏っているかというと、だってほら、カラオケって、歌しかないではないか。一部の音楽業界が牛耳ってるのである。
えー、そんなの当たり前じゃん、などという人がいるかやもしれぬが、しかし、そういうところにこそ、商機というものはひそんでいるはずだ。ここに、われらが本業界が、割って入る余地がないとはいえないのだ。
カラオケだけど、歌わない。読むだけ、という、ズバリ、
「朗読カラオケ」
というのも、いいのではないか、と思うわけである。

とりあえず、一般的な音楽カラオケに便乗するかたちで、始めよう。カラオケボックスに付き物の、あの分厚い、えーと、何ていうの? カタログ? 目録? 歌本? とにかく、それのかたわらに、ちょっと薄めの一冊が置いてあって、開いてみると、まず浜崎あゆみやら倖田來未やらといったアーティスト名の代わりに、夏目漱石、森鴎外、村上春樹、司馬遼太郎と、ぜーんぶ作家名。
そして桜やら天城越えやら青春アミーゴやらの代わりに、雪国、走れメロス、高慢と偏見、蹴りたい背中と、ぜーんぶ作品名。
古今東西、さまざまな作家、さまざまな作品の、声に出して読みたい部分、おおよそ5分前後くらいずつが用意されているわけです。

することは、ふつうのカラオケと同じ。
「えーと、次は何にしようかな、えーと、えーと」
「もー、はやくしてよー、あたし入れちゃうよ」
「あー待って待って、これにする、これ、えーと」
ピピピ、ピッ。
で、モニタの画面にはカラオケと同じようなドラマが映し出され(音楽カラオケと共通でいいかな)、じゃまにならない程度のおだやかなBGMが流れ、そして、そこに表示されるテロップを見ながら、手にしたマイクに向かって、思いっきり感情を込めて、
「申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。はい。厭な奴です!」
‥‥うーん、なかなかいいではないか。

分厚い目録(?)の後ろの方には、「絵本・児童文学」(これはこれで、懐かしさを求める大人に人気である。朗読向けだし。「三びきのやぎのがらがらどん」を叫びながら読んだりして)とか「外国の本」とかと並んで、「メドレーコーナー」もある。これも人気。
「60年代ベスト」「自然主義メドレー」「芭蕉百句」「宮沢賢治メドレー」など、よりどりみどり。
「池波正太郎料理シーン特選」なんて、読んでいるうちにどんどんおなかが空いてしまうぞ。
「太宰治メドレー」の中身は、「女生徒(冒頭)→走れメロス(末尾)→斜陽(冒頭)→お伽草紙(狸が死ぬところ)→津軽(たけの独白)→駆け込み訴え(冒頭)」なんて感じだったりして、うーむ、思い浮かべるだけで大興奮。
よーし、「朗読カラオケ」、なかなかいけそうだ。

あ、別に、5分くらいに細切れにしなくてもいいか。長篇がまるごと入っていてもいい。
そうして、何度も何度もカラオケに通って、ついに、
「カラマーゾフの兄弟全編、カラオケで読み上げました」
というのも、なんだか若者らしくていいぞ。
posted by 清太郎 at 01:51| Comment(5) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おじさま的には、「銀恋」に匹敵するデュエットで読めるのが欲しいです。
「部長、一緒に読みませんか」なんて、OLにヨイショされて、鼻の下を長くして読めるやつ。
Posted by すずめの巣 at 2007年04月25日 19:46
夏は『新耳袋』などの怪談で決まりですね!
メドレーのようなもので、齋藤孝チョイスの「声に出して読みたい日本語」もありそう・・・。
Posted by あさひ at 2007年04月26日 00:15
すずめの巣さん。
デュエット! 大事なものを忘れておりました。カラオケには必須ですよね。
何がいいのかなあ、恋人とか夫婦の会話みたいなのはあからさますぎるから、川端康成の「山の音」の、舅と嫁の会話なんだけど、でもじわじわとスケベっぽい、というようなのはどうでしょうか。

あさひさん。
怪談ものもいいですね。吉田健一の「怪奇な話」なんかも、味わい深い。でも朗読向きではないかな?
齋藤孝のメドレーもいかにもありそうですが、しかしなんだか微妙に説教臭そうですね‥‥。
Posted by 清太郎 at 2007年04月26日 01:06
はじめまして。
朗読カラオケ素敵ですね!あれば是非通いたいです。
私的には夢野久作の『悪魔祈祷書』が読みたいですが、
伏字の部分はどう読むべきなのでしょうね。
Posted by hal at 2007年04月26日 20:14
夢野久作、いいですねえ。チャカポコチャカポコなんて、いかにも朗読すると盛り上がりそう。
伏字部分はですね、もちろん、即興で創作しましょう。ファンとしての腕の見せ所です。
Posted by 清太郎 at 2007年04月26日 23:16
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/39968615

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。