2011年12月11日

読書の音楽化

昨年は電子書籍元年でした。
今、電子書籍2年目は、残すところあと20日。
「2年目」とかいいながら、今年、日本の電子書籍は何の進展もございませんでした(あるいは、そこそこ進展したけど、同じくらい退行した。Kindleの日本版発売って、どうなったんだっけ?)
読書界の未来は、日本の未来と同様に、あいかわらずどんよりです。
そこで思うのですが、そろそろ抜本的、根本的に、読書について、というか読書のマーケティングについて、再検討すべきときではないのか。

再検討するにあたって参考としたいのが、音楽です。
音楽の楽しみ方は、誰もが知っているように、
「聴く」
「歌う」
です。
「聴く」のほうを支える産業は、CDやmp3や、あるいはコンサート。
「歌う」のほうは、まあ一部に歌声喫茶などもありますが、産業として大きいのは、
「カラオケ」
です。
娯楽が多様化する中で、実態は特定の波長で空気が振動しているだけというきわめて単純なものでしかない音楽がそれなりに踏みとどまっているのは、このカラオケがあるがため、といっても過言ではないでしょう。
カラオケボックスは、単に歌を歌うだけでなく、音楽を介したコミュニケーションの場でもあります。コミュニケーションという、ヒトがその性として求めざるを得ないものに目をつけて、音楽業界はもう何十年も前に、課金システムを確立していたのです。

それに対して、われらが読書業界は、どうか。
本の楽しみ方といえば、
「読む」
ほとんどこれのみです(まれに、「積むだけでも楽しい」という奇癖の持ち主もいますが)。
音楽のような広がりは、ありません。娯楽がますます多様化する中、今までと変わらず、ただ「読む」一本で勝負する、そんな姿勢がもう通用しないことは、火を見るよりも明らかです。

では、「読む」以外に、どうやって楽しめばいいのか。
「朗読する」
これです。声に出して読むのです。
「え、そんなの、“読む”と変わんないじゃん。声に出して読むだけじゃん」
というあなた、甘い!
声に出して本を読む。それは、ただの「読む」とは根本的に異なっているのです。
声に出して本を読むことで、声帯と横隔膜がふるえ、その刺激により交感神経の活動が亢進し、副腎髄質ではアドレナリンが分泌され、血管は拡張し、気分は高揚し、肌はつやつやになり、自己免疫作用が活性化され、便通も改善し、発毛も促進し、記憶力がよくなり、テストの点は10点上昇、仕事では上司にほめられ、異性にもモテる!
朗読には、そのように素晴らしい効果があるのです!!
……というようなことを、ウソでもいいから、読書界は発信すべきなのです。
いや、発信じゃなくて、もう力ずくで、そういうことを広める。とりあえずAKB48あたりを起用してCMをつくるべきなのです。

人間の嗜好、なかんずく日本人の嗜好なんて、マスコミの操作でいとも簡単に操れるものですから、何となくテレビや雑誌やネット上で、
「朗読って、楽しいらしいよ」
「身体にいいらしいよ」
「朗読うまいと、彼女ができるらしいよ」
ということになれば、なんだかホントに朗読って良いものに思えてくる。
「あ、俺も朗読しようかな」
「俺も」
「俺も」
ということになる。
学校帰り、職場帰り、あるいは子供が幼稚園に行ってるあいだ、
「ちょっと朗読しようよ」
ということになるわけです。
そうなってくると、朗読にふさわしい場所が少ないことに気づく。歌にはカラオケボックスがあるのに、朗読には、そのための場所がないじゃないの。ファミレスで朗読したら迷惑だし、公園で朗読するのは恥ずかしいし。
そこで、登場するのが、
「朗読ボックス」
です。以前の「朗読カラオケ」のネタで考えた、まさにそれね。
朗読ボックスの便利なところは、手ぶらで楽しめることです。本をもっていなくても、朗読ができる。
今は電子書籍があるから、朗読ボックス側も、広い書庫などをもたずとも、お客さんに朗読用の書籍を提供できます。
で、こうなると、音楽と同じで、著作権協会みたいな組織が整備されることになります。朗読ボックスで朗読された作品については、1作品につき一定の料金が出版社と著者に支払われるようになる。
かわりに出版社と著者は、朗読ボックス業者にどんどん電子書籍を提供する。朗読を通じた著作権使用料を得るために、みんな嬉々として電子書籍化をするわけです。
「朗読」という、本を使った新しい娯楽を創造することで、消費者は新しい喜びを見つけ、出版社と著者は潤い、電子書籍化も進む。
これにより、本屋さんの売り上げはV字回復‥‥することはないでしょうけど、少なくとも、読書業界の未来に、何かしらの展望が開けることは確かです。


まあ、もちろん、その代償として、朗読して気持ちがよさそうなサビの部分だけに力が入って、残りはテキトーな感じの小説が量産されるかもしれないけど‥‥。



posted by 清太郎 at 16:51| Comment(4) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マジで朗読教室に通ったワタシ。(今月やめるけど)朗読マジ楽しいよ〜。
朗読ボックスで群読で盛り上がったり
孤独に一人かみ締めてもよし、と思う。
朗読用に極上掌編小説が増えるといいですね(^^)
サビばっかの小説は今もすでにあるような気はしますが。。。
Posted by シキ at 2011年12月11日 19:34
「どっかで聞いた話だなぁ」と思いつつ読んだら、以前同じネタがあったんですねw
実はここのブログのネタ、全部覚えてるのかも……。

会話の掛け合いが魅力のライトノベルなんかを、誰かとデュエットしたら楽しいかも。
そして世の恋人達はきっと、クリスマスに恋愛小説をデュエットするに違いない。
Posted by 黄黒真直 at 2011年12月13日 22:57
まあ、次は朗読でバンドを作りたいですね。「けいおん」なんかとコラボして。
当然、バンドでドラムス担当、ベース担当など担当楽器ががあるように、男担当、女担当、地の文担当、カギ括弧担当、句読点担当、挿絵担当など、それぞれのパートを決めて放課後に練習して文化祭で発表すると楽しい。
また、バンドの人が楽器に凝るように、「やっぱり、岩波文庫のカギ括弧が最高!」などと、パートごとに蘊蓄を傾けるのも楽しい。
Posted by すずめの巣 at 2011年12月17日 18:22
わー、ごめんなさい、レス返したと思ってたけど、反映されてなかった。ほったらかしで申し訳ない><

シキさん。
朗読、やっぱりいいですか! 私どっちかというと苦手。。。小学校のころ「茂吉のねこ」を超こわく朗読した同級生のノノムラさんがいまだにアコガレです。
ていうか、今の小説、サビばっかか。。。^^;

黄黒さん。
朗読でデュエット! いいですねー。
けっこう感情移入しちゃったりして、読んでるうちに頬は上気、心臓はドキドキ、いつしか相手のことが。。。なんて^^

すずめの巣さん。
その分担、いい! ぜひ朗読をバンドでやってほしい。
しかし、あまりに一人が上手すぎると、
「句読点担当が、よそに引き抜かれた!」
ということになり、そのバンドは句読点なしの苦しい朗読をすることになる、ということにもなったりして、タイヘンです。
Posted by 清太郎 at 2012年01月15日 10:12
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