2005年08月17日

読書週間の標語

夏休みのただ中ですが、秋の読書週間(第59回)の標語が先日決まったそうです。
「本を読んでる君が好き」
なのだとか。
この標語、第1回(1947年)から並べてみると、こんな変遷を辿っています。

1947 楽しく読んで明るく生きよう
1948  同
1949 おくりものによい本を
1950  標語なし

1951  標語なし
1952  標語なし
1953  標語なし
1954 みんなで本を読みましょう
1955 読書は人をつくる
1956 読書がつくるよい家庭
1957 そろって読書 あかるい家庭
1958 読書でつくろう 明るい社会
1959 みんなで本を読みましょう
1960 よい社会 ひとりひとりの読書から

1961 あかるい生活 楽しい読書
1962 きょうの読書はあすへの希望
1963  同
1963  同
1965 みんなで読書 たのしい家庭
1966  同
1967 あかるい家庭 たのしい読書
1968  同
1969 いつでもどこでもたのしい読書
1970 いつでもどこでも楽しい読書 茶の間に雑誌 明るい家庭

1971 よい社会 ひとりひとりの読書から
1972 国際図書年みんなに本を
1973 レジャーを本で
1974 本との出会い 豊かな心
1975 本との出会い 豊かな時間
1976  同
1977 一冊の本から何かが始まる
1978 翔べ心! 本はその翼である
1979 燃えよ人生! 本とのふれあい
1980 素晴らしき人生 本との出会い

1981 本との出会い ゆたかな人生
1982 読書はあなたの無限の宇宙
1983 読書は新しい発見の旅
1984 秋です 本です 読書です
1985 キラリ知性 秋の一冊
1986 読書は永遠のニューメディア
1987 心に刻もう確かな一冊
1988 昔を読む 今を読む 未来を読む
1989 秋が好き。街が好き。本が好き。
1990 一冊の興奮、一冊の感動

1991 風もページをめくる秋
1992 無限の海へ 読書の旅立ち
1993 ゆっくりと各駅停車、本の旅
1994 秋だからちょっと夜ふかし あと1ページ
1995 本を読んだね! いい顔してるよ
1996 ホンのムシって どんなムシ!?
1997 読みたい本を読めばいい、読みたいように読めばいい
1998 いつも、ずっと読書週間
1999 あと1ページがとまらない…
2000 はじまりは1冊の本だった。

2001 夢中! 熱中! 読書中!
2002 自分が変わる、世界が変わる、本との出会い。
2003 ありますか? 好きだといえる一冊が…
2004 落ち葉をしおりに、読書の秋
2005 本を読んでる君が好き

整理してみると、おおよそはこんな感じでしょうか。

(1)はじめのころ
いいかげん。

(2)50年代なかばから70年くらい
「本を読むことが明るい家庭につながる」という論理(本を読むことと明るい家庭づくりの間に論理的な因果関係を見出したというよりも、単に「家庭」というのが流行りだったんじゃないかしら。55年に日本住宅公団ができたり、58年に「家庭画報」が創刊されたりしてます)。

(3)70年代
ちょうど高度成長も終わりを告げ、お金では買えない、カタチにして表せないような何ものか、豊かな何かを読書に期待するような雰囲気。

(4)80年代
本を読むことの自己目的化。読書を通じて何かを得よう、という手段としての読書ではなくて、本を読んで、おもしろければ、それでいいじゃないか、という感じ。

(5)90年代以降
広告コピーとして標語が洗練されてきたぶん、読書というよりも標語自体の自己目的化が進捗。読書週間が始まったころは「みなさん本を読みましょう!」というダイレクトな呼びかけだったはずの標語が、最近では「読書をネタに、いかにいい文句をつくれるか」になっています。

ようするに、実社会ではバブル崩壊後の「失われた十年」を経てようやく上向いてきたところ、という現在にあって、読書週間の標語は、今まさに、実体のない「バブル」の真っただ中なんですね。バブル経済ならぬバブル標語です。
いずれバブルが崩壊して、昔の、
「みんなで読書 たのしい家庭」
の味わいが戻ってくるといいのになあ、と個人的には思っています。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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