2010年12月19日

2010読書界番付

はわわー。
ぼんやりしていたら、いつの間にかもう12月半ばではございませんか。2010年も残すところわずか2週間ですのよ! 奥様!
ということで年末恒例企画、今年も「読書界番付」をまとめてみたいと思います。
これまで同様、
「どれだけ売れたか、だけではなく、話題性やインパクトの大きさ、将来性、私の個人的趣味といった各要素を勘案したうえで」
順位付けしています。ご意見・ご要望がございましたら、どうぞお寄せください。

ていうか、えーと、この企画もさすがに何年もやってると、飽きてくるんですけど。上の文章も、これまでのもののコピペだし‥‥。
とはいえ、これをやっておかないと、前の年に何があったのかとか、すぐ忘れちゃうんだよねー。最近は、今読んでる本の前に何読んでたかも定かでないし‥‥。(これまでのものは、こちら。→200720082009
ということで、「2010読書界番付」です。
当初の予定では、今年はもう何といっても「国民読書年」! これに尽きる! 国民読書年のおかげで国民は本読みまくり! 本売れまくり! 出版市場規模は3兆円に! ということになるはずで、当然ながら東の横綱には国民読書年が君臨! のはずでしたが、さて、結果はどうだったか‥‥。


読書界番付

西
電子書籍 横綱 もしドラ
ONE PIECE 大関 鋼の錬金術師
ドラッカー 関脇 サンデル教授
非実在青少年 小結 iPad
KAGEROU 前頭1 ノルウェイの森
池上彰 同2 ゲゲゲ
はやぶさ本 同3 坂本龍馬本
GLOW 同4 冲方丁
フリー 同5 ミホちゃん

以下、さらっと解説です。

■横綱
電子書籍
もしドラ

出版界にとって、2010年は「何年」だったかといえば、「国民読書年」ではなく、「電子書籍元年」だったといえるでしょう。
もちろん、「何度目の“元年”だよ、ケッ」という見方もありますが、去年の今頃は「なんとなく電子書籍化への『風が吹いてきた』ような気がしますが、どうなることやら」などという状況だったことを思うと、確かに「元年」にふさわしい年だったように思えます。
ということで、昨年は期待を込めて横綱に据えた電子書籍が、今年は堂々の正横綱です。
ちなみに、現在の主な電子書籍店(いい呼び方はないのかしら)は、

・TSUTAYA GALAPAGOS
 専用端末GALAPAGOSで利用可。
 シャープ、CCCによるサービス。電子書籍はCCCが調達。
・Reader Store
 ソニーの専用端末Readerで利用可。パソコンを通さないとダウンロードできない。
 ソニー、KDDI、凸版印刷、朝日新聞の4社連合「ブックリスタ」が取次として電子書籍を卸す。
 老舗の電子書籍店パピレスからもReader向けに1万5,000冊を販売。
・honto
 大日本印刷が従来の電子書籍店「ウェブの書斎」をリニューアル。
 パソコンとiPhone/iPadに対応。
 大日本印刷はNTTドコモは共同事業「トゥ・ディファクト(2Dfact)」を設立しており、2011年1月からは「honto」をベースにドコモ端末のAndroid向けに電子書籍店をオープン。
・BOOK☆WALKER
 角川書店グループが運営。
 iPhone/iPad向けに、ライトノベルやコミックなど角川グループの電子書籍を提供。
・紀伊國屋書店Book Web Plus
 紀伊國屋書店によるオンライン電子書籍店。
 とりあえずはパソコン向けのみ。iPhone/iPad、Android版は開店予定・開発中。
・Kindle Store
 12月には日本版キンドルストアがオープン!?と噂されてたけど、今までのところ音沙汰なし。来年に期待。
・Google eBookstore
 GoogleがAndroid、iPhone/iPadなど複数のプラットフォーム向けに配信。
 スキャンした1200万冊(だっけ)のうち、パブリックドメインを中心とした300万冊のラインナップ。
 とりあえず日本での和書ストアは未定。

といったところでしょうか。
私はXperiaユーザーなので、来年1月のAndroid版「honto」が少し気になりますが、本命はもちろんKindle日本版です。
あ、電子書籍関連では、自分で本を断裁してスキャンしてPDF化する「自炊」も流行りましたよね。

えーと、横綱のもう一方は、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)です。
昨年末に刊行されて、今年7月に100万部を突破、電子書籍版も好調(10万ダウンロード以上だとか)で、書籍版・電子版あわせて200万部を超えました。
思いつきのネタとしてなら誰もが考えてそうなアイデアから、一定以上のレベルで本にした、まさに著者と出版社の勝利でしょう。来年にはNHKでアニメ化、さらに前田敦子主演で映画化も決まり、もう向かうところ敵なしです。
もちろん類似本もいっぱい出て、
・「金欠の高校生がバフェットから『お金持ちになる方法』を学んだら」(PHP研究所)
・「もし、かけだしカウンセラーが経営コンサルタントになったら」(出版文化社)
・「もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら」(イカロス出版)
・「もしONE PIECEファンの女子大生が起業したら」(イーグルパブリシング)
・「もし無機物が人間になって恋をしたら」(リブレ出版)
などがあるのですが、しかし個人的にはどっちかというと、
・「もしクラスのいじめ問題を解決したい14歳中学生女子(学級委員長)がロールズの『正義論』を読んだら」
・「もし実はエッチなことに興味津々の14歳中学生女子(学級委員長)がフーコーの『性の歴史』を読んだら」
といった方面を期待しております。人文系の出版社には、来年、がんばってもらいたいと思います。

■大関
ONE PIECE
鋼の錬金術師

昨年の番付で関脇だったONE PIECEが、今年もまた、そしてランクアップして番付に登場。
今年は、ジャンプで4週間の休載の後、2年後の「新章」に突入し、60巻は国内の出版史上最高となる初版発行340万部を記録、累計部数はついに2億部を突破しました。
夏には、神保町で「神保町 ONE PIECE カーニバル」が開催されましたよね。
まさに国民的マンガ! なんだけど、私、最初のほうしか読んでないので、あんまし興味ないです‥‥。

一方のハガレンは、9年にわたる連載がついに完結。個人的には、ONE PIECEよりもこっちの方が気になります。
雑誌「ユリイカ」の12月号もハガレン特集でした。

■関脇
ドラッカー
サンデル教授

「もしドラ」のおかげで、『マネジメント』の著者である経営学の巨人、ドラッカー本人もブームになりました。 たぶん「もしドラ」を読んでから『マネジメント』を手に取った人も大勢いるだろうし、入門書をはじめとするドラッカー本もいっぱい出ました。
先の見えない混迷の時代、とりあえず基本に立ち返る、という意味では、いいブームだと思います。

サンデル教授は、NHKの「ハーバード白熱教室」で話題になり、その講義をもとにした著書『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)がベストセラーになりました。
サンデル教授は来日して東大とかで講義し、その講義もまた本になり、もうウハウハ。「正義」がにわかに注目のキーワードとなり、ロールズ『正義論』の改訂版も、漬物石の代わりになりそうな巨大本なのに、一応それなりに売れてるように見えます(この手の本のわりには)。
こちらも、講義のおもしろさもさることながら、格差や貧困が話題になる現代日本で、「ところで、正義って何よ?」ということを考えるきっかけになる、いいブームだと思います。(しかし、あくまで考えるきっかけを与えるものなのであって、答えが書いてあるわけではない、ということを理解してない人も多い気がする。)

■小結
非実在青少年
iPad

今年のマンガ業界で話題になったのは、規制をめぐる問題でしょう。
その象徴ともいえる言葉が、この「非実在青少年」。「東京都青少年の健全な育成に関する条例(東京都青少年保護条例)改正案」に登場する言葉です。
「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下、非実在青少年という)」
というのね。この言葉、ネットでも大いに流行しました。
こんな改正案が通ったら文化が滅ぶ! と漫画家や出版社が大反対して一度はポシャりましたが、石原慎太郎都知事の主導のもと、「非実在青少年」という言葉自体は削除されたものの、形を変えた条例が今月に入って成立しちゃったことは、周知の通りです。

今回、電子書籍が横綱になりましたが、それが可能になったのも、iPadが出たから、といっても過言ではないでしょう。
iPad自体は別に電子書籍専用端末ではありませんが、カラーで、動画もミックスされて、するするストレスなく読める、というiPadで読める電子書籍は、まさに「本の未来」という感じで、大きなインパクトを与えました。
実際、今、どのくらいの人がどれだけiPadで電子書籍読んでるのか、よくわかんないんだけどね‥‥。

■前頭1枚目
KAGEROU
ノルウェイの森

都青少年健全育成条例改正案が可決されたちょうどその日に発売されたのが、水嶋ヒロ、というか斎藤智裕のデビュー作にしてポプラ社小説大賞受賞作『KAGEROU』です。
水嶋ヒロが、素性を明かさず本名で応募した作品が受賞、しかも『1Q84』のように発売前はストーリーが伏せられていたとあって大いに話題に。予約注文で43万部、発売2日で68万部という大ヒットとなりました。 肝心の中身は、素人くさいとか、やっぱ出来レースだったんじゃないのとか、全体的に辛口評価みたいなんですが(最初のほう読んだけど、まあたしかに文章はいかにも素人くさい)、しかし、こういう場合にありがちな「ぜったい泣ける! 感動ストーリー!」みたいな感じじゃないらしい、というだけで、私は評価しています。そのうちちゃんと読もう。

で、今年前半には『1Q84』の「BOOK3」が出た村上春樹ですが、しかし注目はやはり1Q84よりも、ついに映画化された「ノルウェイの森」ですよね。
トライ・アン・ユン監督の映画は、ひたすら美しくて、なんかイメージフィルムっぽいという印象もあるみたいですが、まあとりあえず、それよりも、そろそろ『ノルウェイの森』くらい読まなきゃ‥‥、というのが個人としての感想です。

■前頭2枚目
池上彰
ゲゲゲ

「もしドラ」もそうなんだけど、
「なーんだ、みんな、結局わかってなかったのか。やっぱり、わかりやすく説明してほしいだね」
と思ったのが、池上彰ブームでした。NHKの週刊こどもニュースから「わかりやすく説明してくれる人」として注目されるようになったこの人、『伝える力』(PHP ビジネス新書、2007)あたりで書き手としてブレイクしましたが、今年も『<わかりやすさ>の勉強法』(講談社現代新書)とか、『池上彰の学べるニュース』シリーズ(海竜社)とか、あれこれ出て、最近では本屋さんに池上彰コーナーもできてますよね。

「ゲゲゲの〜」は今年の流行語大賞になりましたね。NHK朝ドラ「ゲゲゲの女房」で、ゲゲゲ関連本(というのか?)も売れました。

■前頭3枚目
はやぶさ本
坂本龍馬本

今年は、ワールドカップでベスト16とかノーベル賞受賞とか、経済以外で「日本もけっこうやるじゃん」と多くの国民が思った年でしたが、中でもマニアックな話題を呼んだのが、小惑星「いとかわ」から帰還した「はやぶさ」でしたよね。関連本も続々と刊行されました。
・『小惑星探査機 はやぶさの大冒険』山根 一眞、マガジンハウス
・『はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話』川口 淳一郎、宝島社
など、思わず熱く擬人化したくなっちゃうことも特徴でした。

一方で、NHK大河ドラマ「龍馬伝」もそれなりに話題になり、やっぱり関連本続出。
岩波文庫から、『汗血千里の駒―坂本龍馬君之伝』(坂崎紫瀾)が出てたのが印象的でしたが、
・『人生が驚くほど変わる 龍馬脳のススメ』茂木健一郎、主婦と生活社
は、ちょっと微妙でした。何よ、龍馬脳って‥‥。

■前頭4枚目
GLOW
冲方丁

雑誌不振の中、今年も「sweet」を筆頭に宝島社の付録付き雑誌が好調でしたが、1つ挙げるとすれば「GLOW」です。「40代女子」向けの雑誌として、10月に創刊されました。銀座で女性400人に天然ルビーを配布、というキャンペーンも話題になりましたね。

今年の直木賞と芥川賞受賞作を、皆さん、覚えてますか。
2010年度上半期の芥川賞「乙女の密告」はわりと話題になりましたが、直木賞の中島京子は、作品のよさに比べて話題性は微妙(『冠・婚・葬・祭』とか『FUTON』とか、おすすめですよ!)、2009年度下半期の直木賞だった佐々木譲と白石一文なんて、ベテラン作家だけど、「あれ? この人たちが直木賞だったんだっけ?」って感じです。
それに比べると冲方丁の本屋大賞受賞作『天地明察』は大きな話題になりました。
日本SFファンと一部のアニメ好き以外にとっては「誰これ? おきかたちょう?」という程度の知名度だったと思いますが、本作のおかげで、一般の本好きにもそれなりに知られるようになったと思います。あ、名前の読み方は、「うぶかた・とう」ね。
ちなみに『天地明察』は、関さんが実は女子!という展開をずっと期待しながら読んだので、個人的にはがっかりな内容でした。

■前頭5枚目
フリー
ミホちゃん

電子書籍のよって、出版のあり方も少しずつ変化してきているようです。
その象徴ともいえるのが、昨年11月に出た『フリー〜〈無料〉からお金を生みだす新戦略』でした。発行と同時に電子書籍版を無料配布という思い切った試みによって、本の売上につなげ、半年で18万部という堂々のヒット。「フリーミアム」という言葉も話題になりました。

ミホちゃん、といっても、「誰それ?」と、ピンとこない人がほとんどでしょうが、コボちゃんの妹です。
読売新聞連載の四コママンガ「コボちゃん」が今年は連載1万回を迎え、ついにコボちゃんに妹が誕生。田畑家にとって、今年はターニングポイント(?)ともいえる年になりました。

と、以上が今年の「読書界番付」でした。
今年もいろいろあったんだねー。
って、あれ? 「国民読書年」がないんですけど‥‥。
ということで、次回の、これも恒例、「読書界しょんぼり番付」をお楽しみに!


posted by 清太郎 at 07:59| Comment(3) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
飽きたなんて仰らないでー。毎年「いやはや、年の瀬かあ」としみじみするのを楽しみにしております。もはや風物詩です。ちなみに、こちらに読書感想文がらみのコメントが増えてきたら「夏休みも終わりかあ」としみじみします。夏の風物詩です。
Posted by ミホノフ at 2010年12月19日 16:35
ボクも毎年楽しみにしてます。
いつもこれ読んで、「今年も結局、ボクは本の話題についていってなかったんだなぁ」とシミジミするのが恒例です。
そうかー。オキカタ・チョウじゃなかったのかー。
文庫になるのを待ってるんですが、諦めてハードカバーで買うべきですかね。
「和算の話が一杯出てくる」ってことで、物凄く興味があるのですが。
今年中に1Q84を読む予定でしたが、このままだと結局読まずに終わりそうです。
Posted by 黄黒真直 at 2010年12月22日 22:53
なんだかコメント表示部分が変なことになっちゃっててゴメンナサイ。放っておけば、そのうち直るかな‥‥。

ミホノフさん。
楽しみにしていただきありがとう(^^)
私も、この記事を書くと、ああもう年末だ、としみじみします。

黄黒さん。
そうなんです。オキカタチョウじゃないです。「沖」の字と違うし。
和算の話がいっぱい出てきそうですが、実は数学的な話はたいして出てこないので、その意味ではガックリだと思います。(まあ他の意味でもガックリかもしれないけど。)
1Q84よりも、私はノル森を読まねば‥‥。
Posted by 清太郎 at 2010年12月23日 18:46
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