2010年04月01日

読書家向けキャバクラ「檸檬」体験記

前回の「キャバクラ本屋」を読んだというかたから、1通のメールをいただきました。

>こんばんは。
>池袋でお店を何軒かやってる者なのですが、
>そのうち1つが、読書家向けになっています。
>(中略)
>いかがですか、一度遊びにきませんか。
>ブログで取り上げていただけるのでしたら、料金半額でかまいません。
>ジュンク堂の裏あたりにある、「檸檬」というお店です。(後略)

とのことで、読書家向けキャバクラ!
しかも店名は「檸檬」!
さらに料金半額!
えーと、まあ念のために申しておきますと、私自身は、キャバクラなんていうものに興味があるわけではありません。しかしながら、一部の読書家向けブログを標榜している以上、こうした申し出を無碍に断るわけにもいかないでしょう。
読書家向けキャバクラとはいかなるものか、本当に読書家を満足させられるのか、その真偽のほどを、ぜひ確かめなくてはなりません。
ということで、決してキャバクラに興味はないのですが、お店を取材させていただくべく、先日の金曜の夜におじゃましてきました。以下、そのレポートです。

お店があるのはジュンク堂池袋店から200メートルくらいのところ。
駅とは反対側ですが、ジュンク堂やリブロで買い込んだ本を抱えてくるお客さんも多いと、後で聞きました。
メールをくれたオーナー氏はいなかったのですが、
「オーナーから話はうかがっています」
と、黒服のボーイさん(というのかな?)が丁寧に案内してくれました(こういうお店に入るのは初めてなんですが、なんだかすごく物腰やわらかなのね。どこでもそうなの?)。
店内は薄暗くて、どのくらいの広さなのかいまひとつよくわかりませんが、壁際に本棚がずらりと並んでいたりとかはしないみたい。うーん、何が「読書家向け」なんだろう。
ソファに腰掛けると、とりあえずそのボーイさんが、料金について説明してくれました。繰り返すけどこういうお店は初めてなので、ちょっと警戒してたのですが、いちおう明朗会計なのね。
説明によると、料金システムは、「セット料金」になっているとのこと(ふつうのキャバクラと同様だそうです)。45分が1セットで、5,500円(税・サービス料込み)。この料金には、ハウスボトル(ウィスキー)の飲み放題も含まれています(これもふつうのキャバクラと同様なんだって!)。ただし、女の子が飲むと、その分の料金が加算されるとのこと。なるほど。
ほかに、女の子の指名料が2,000円または3,000円なのだそうですが、今回は初めての来店だから関係ないよね。45分で出てきちゃえば、5,500円で済むのか(今日は半額だから、2,750円!)。へー、キャバクラって、思ってたより、ずいぶんリーズナブルなのねー。

ボーイさんの説明が終わると、さっそく女の子が隣に。
「こんばんは〜」
こ、こんばんは。なんだか緊張します。
「お客さん、はじめてですか?」
はいっ、はじめてどころか、キャバクラ自体がはじめてですよ初体験ですよリアルキャバ嬢と初会話ですよ。
「えー、やだ、そんなこと言われると、あたしも緊張してきちゃうー」
という彼女は、キリノちゃん。クリッとした目でかわいらしい顔ですが、キャバ嬢というわりにはふつうの格好で、髪型も別にモサモサアップにしてません。っていうか、店内見渡すと、どの女の子も、いわゆるキャバ嬢っぽい姿ではありません。なるほど、そのあたりはちょっと、読書家向けなのかも‥‥。
そのキリノちゃんの胸元には、名札がついてます。見ると、名前の上に、
「小説一般」
という文字が。
ん? これって、もしや‥‥。
「あ、これですか? あたし、小説一般が担当なんですー。小説なら、こう見えても、けっこう読んでるんですよ、あたし。ほかにも、マンガとか、社会とか、自然科学とか、歴史とか、ビジネスとか、いろいろあってー」
おおお、読書家向けって、そういうことでしたか!
名札にジャンル名とは、ジュンク堂と同じ。心憎い演出です。
ちなみに、キリノちゃんのように、ピンクのプレートに黒い文字の女の子は指名料2,000円、逆の黒いプレートにピンクの文字なら指名料3,000円とのこと。後者は「SF」とか「時代小説」とか「詩」とか、よりジャンルを絞った担当なのだとか。
また、相手の女の子の担当ジャンルが自分の好みと合わない場合、あるいは他の女の子と話したい場合は、いくらでも変更可能だそうです(キャバクラ用語で「チェンジ」というそうです)。

まあとにかく、そういうことでしたら、遠慮なく本の話をさせていただきましょう。
えーと‥‥。
などと、いきなり詰まる私。何度も言うようにキャバクラなんて入るのはじめてですから、女の子相手にどんなふうに会話したらいいのか、よくわかりません。そもそも、こんな若くてかわいい女の子と本の話をする(いや、本以外の話も含めて)なんて、いつ以来だ‥‥?
とはいえ、そこはそれ、キャバクラなんですから、たとえ外見はキャバ嬢に見えなくとも、相手はプロ。私のようなウブな客に対しても、ちゃんと会話をリードしてくれます。
「最近読んだ小説で、何かおもしろかったの、ありますー?」
えーと、えーと、最近、何読んだんだっけ。
「あたしはねー、お客さん、知ってますか? 辻原登の『抱擁』‥‥」
あ、それなら、私も読んだ読んだ。
「やーん、うれしい! この本のこと話せるお客さんがいなくって」
おお、では、まず『抱擁』について話そうではありませんか。『抱擁』のどんなとこがよかったの?
「えーっと、『ねじの回転』っぽいとこ‥‥、なんていうと、お客さん、引きません?」
いや、もう、引くどころか。『ねじの回転』、いいではないですか!
というところから始まって、『抱擁』と『ねじの回転』の比較、信頼できない語り手について、辻原登は私ははじめてだったんだけど他に何がおすすめなのか、しかし同じ『抱擁』ならむしろA・S・バイアットでしょう、きゃーあたしもバイアットの『抱擁』大好きー、バイアットをはじめ英国の現代作家の話、マキューアンもいいよねー、新刊の『初夜』も、ああいうとき女子はやっぱりあんなふうに思うわけ?(このあたり私もお酒が入ったので、エッチな話題にも挑戦してみました)、英国モノといえば一風変わったところでキース・ロウの『トンネル・ヴィジョン』、ソニー・マガジンズってときどき意外な掘り出し物があるよねー、『紙葉の家』とか、『紙葉の家』といえばアルフレッド・ベスターの『ゴーレム100』読んだ?、ピーター・アクロイドの『切り裂き魔ゴーレム』について‥‥といった感じで話が盛り上がり(感心したのが、そうやって話しながらもさすがプロ、キリノちゃんは、グラスについた水滴をしきりに拭いてくれるのね)、ふと気がつくとすでに1時間弱が経過‥‥。
ありゃー、45分で終わりにしようと思ってのに、1セット分はとっくに終わってたのね。延長は、15分ごとに2,000円なのだそうです。
うーん、これで十分ブログは書けるし(そういえば、いちおう取材に来たんだった)、そろそろ切り上げてもいいかなあ、いやあ、しかし、キャバクラって、はじめての体験だけど、案外、楽しいものですな。ぐふふ。
などと思っていると、
「すみませーん」
とボーイさんが登場。どうやらキリノちゃんに他から指名が入ったようです。
「楽しかったですー、今度いらしたら、ぜひ指名してくださいねー」
と、手を振って去るキリノちゃん。わー、なんか、名残惜しい‥‥。
と思ったら、
「こんばんは。よろしくお願いします」
と、次の女の子が現れました。キリノちゃんに比べるとお姉さんな雰囲気の、ロングの黒髪が清楚な感じのマヨイちゃん。
彼女の胸の名札には、
「小説・工学・産業」
の文字。おおお、なんだかよくわかんないけど、すばらしい。
キャバクラはじめての私ですが、ほどよくお酒も回っていますし、初顔合わせでも、もう大丈夫です。
「工学・産業ってことは、建築関係とか、大丈夫?」
「もちろんですよぅ、何かおすすめの建築本、あります?」
というところから、最近読んだ『住まいのりすとら』の話、それに載ってた「カーサ・ブルータス」企画の安藤忠雄に設計してもらった住宅の後日談について、『東京R不動産』もおもしろいよねー、この前出た『東京シェア生活』について、シェア生活といえば少女マンガだけど『グッドモーニング・コール』って知ってる?、きゃー知ってる知ってる「りぼん」ですよねー、というところからなぜか少女マンガの話題になり(「マンガ担当じゃないからそんなに知らないんですけど‥‥」と言われましたが、私もそんなに知ってるわけじゃないから問題なし)、往年の「りぼん」の話、やっぱり柊あおいだよねー、やだあたしリアルタイムじゃ知りませんよー、最近はもっぱら花とゆめコミックス、『てるてる×少年』と『紅茶王子』について、少年マンガ誌に描いてる少女漫画家について、でも渡瀬悠宇は『アラタカンガタリ』もいいけど『櫻狩り』に興奮した!‥‥などと盛り上がっているうちに、またいつの間にか1時間。
わー、いかん、このままではキリがない! このへんで終わりにします! 引き止めないでください!
と、
「今日はあんまり建築本の話ができなかったから、次はたっぷりお話ししましょうね」
などと言われつつ、残念だけど、お会計にすることにしました。もちろん、その前に、マヨイちゃんと、メアド交換。うふうふ。

正味滞在時間は、2時間強。
したがって、最初の45分5,500円+6回分の延長料金12,000円+女の子が飲んだお酒(もちろん、勝手に飲んだんじゃないよ。「一杯おつきあいしてもよろしいですか?」といわれてOKした分)+ポッキーとかおつまみの合計で、24,500円でした。今日は特別に半額だから、12,250円‥‥。
あれ? 最初、私、2,750円で出てくるつもりだったよね!?
こ、これが、キャバクラの魔力か‥‥。
なにせキャバクラは初体験で、相場というものがよくわからないから判断できないんだけど、こんなもんなんでしょうか。
いや、でも、好きなジャンルの本の話ができて(しかも、一方的に自分が話すのではなくて、ちゃんとした会話になって)、相手は若い女子、かわいい、ということになると、値段はどうあれ、なんかちょっと、また来てみても、いいかな‥‥、なんて気分になります。
ふだん本ばかり読んでるけど、女子と本についてしゃべったことなんてほとんどない、でも一度くらい女子と本バナしてみたい、という男子は、もしかしたら、こんなお店に行ってみるのもいいんじゃないでしょうか。

以上、読書家向けキャバクラの実態レポートでした。
はじめは「本当に読書家を満足させられるのか」なんて思っていたわけですが、読書家の端くれとして、力強く断言しましょう。
「満足しました!」
と。
「できればまた行きたい!」
と。
場所は池袋、ジュンク堂の近く。
店名は「檸檬」。
お店のホームページはwww.sexyclublemon.com

hp416.jpg

いやあ、もう、私もね、何度も言うけどキャバクラははじめてだったんですが、ハマっちゃう人の気持ちがよくわかります。楽しいですもん、ホント。相手はプロ、これは商売だってわかってるんですが、でも商売だろうと何だろうと、本について話してることはホントなんですからね。
それに、実をいうと、メアド交換したマヨイちゃんからは、あれから毎日メールが来るのです。
「本バナの続きがしたいですー(はあと)! 次はいつ来られますか? 会いたいなー」
とか何とか。マヨイちゃんったら、私とのおしゃべりが、そんなに楽しかったのかなあ。うふふ。
今回はまあ、お試しでしたけど、これから何度か通って、開店前の「同伴」で一緒にジュンク堂でお買い物したり、神保町で古本屋めぐりしたり‥‥、でもって、さらにさらに‥‥。
わー。





と夢と妄想はふくらむばかりなのですが、当然のことながら今日は4月1日、エイプリルフール。
以上はすべてウソです。
(このブログ、エイプリルフールじゃなくても、たいていウソですが。)
残念ながら、池袋に読書家のための「檸檬」なんてキャバクラ、存在しません。
池袋じゃなくても、神保町にも、ありません。
キリノちゃんもマヨイちゃんも、いません。
私は、こんなキャバクラに入ってません。
っていうか、そもそもキャバクラに行ったことも、ありません。
セット料金とか何とか、そんなこと全然知りません。これを書くためにネットで調べました。
とか何とかいいつつ、エイプリルフールだからそれもウソで、実はけっこうキャバクラ好きです、なんてこともありません。
キャバクラは入ったことないけどセクキャバなら毎月行ってます、ということもまったくありません。
キリノちゃんとマヨイちゃんのモデルはマナミちゃんとチヒロちゃんです、なんてことも絶対ありません。
ホントにキャバクラ未体験です。
キャバクラのキャの字も知りません。いや、キの字も知りません。
ホントのホントですよ。ね、誤解しないでくださいね、ホント、ホントなんですからね、ね、ね‥‥。



posted by 清太郎 at 00:06| Comment(8) | TrackBack(2) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
読書家向けキャバクラレポートのネタ、私も近々自分のサイトで取り上げようと思っていたところだけに、「先越された」という思いです。

いやいや、みなまで言うな。わかってます。エイプリル・フールという口実を思わず使いたくなるという気持ち。「読書家向けキャバクラ」などという名称のせいもあるのでしょうが、まだまだ世間に認知されてないというか、誤解されそうなところ、ありますものね。

悪質なものもあるということですが、おのずと良心的なお店は生き残ると思うのですよ。読書家の端くれのひとりとして、「読書家向けキャバクラ」はぜひとも応援して行きたいところです。

ところで・・・今度こっそり「檸檬」に連れていってくださいね。『紙葉の家』を語れる女の子がいる店は、さすがにはじめて聞きましたよ。いや、わかってますとも。エイプリル・フールですよね。
Posted by 八方美人男 at 2010年04月01日 05:21
こんにちは〜。
今日は・・・と楽しみにしてきました。
面白かったです。こんなお店があったら危険ですね。と、私でも思っちゃいます。

八方さんとの二人レポ、読んでみたい。(笑)
Posted by みちる at 2010年04月01日 12:26
毎年騙されるもんか。
と思ってる本読みHP読者のために
ついにほんとだけど嘘ってことでホントのこと書いちゃおう、の手に出てきたのですね。
半額でオトクでよかったですね(^^)
オーナーさんに本読みホストもどうです、ってお伝えくださいませ。
ホスト、だとやっぱり文学少女(笑)な乙女は躊躇しちゃうので、執事カフェ文学特化版、みたいな方がいいかなあ。
Posted by シキ at 2010年04月01日 16:11
ついだまされてしまいました。
こんな店があったら、私も行ってみたい!!
Posted by min at 2010年04月01日 16:45
そうですよね、「事実をもとにしたフィクション」ってありますもんね。
檸檬じゃなくて蜜柑なんですよね。
マヨイちゃんじゃなくてチヒロちゃんなんですよね。

ああしかし、ボクはこのHPに足を運んでいるにも関わらず、全然読書家じゃないわけで……。
女の子が延々本について語っているのを、お酒飲みながらジッと聞いてるだけってのがOKかどうか、オーナーさんに尋ねてきてください!
Posted by 黄黒真直 at 2010年04月01日 17:27
八方美人男さん。
ちょwwww、何しらじらしいことを言ってるんですか、いちおう店名は変えましたが、八方さんに教えてもらったあのお店ですよー。
マナミちゃんが、「さいきん八方さんが来ないのー」って言ってましたよ! 「八方さんと『紙葉の家』のディープな話をしたのが、忘れられなくって」だって。んーもう、罪作りなんだから!

みちるさん。
こんばんは。
残念ながら、そんなわけで八方さんとは、ニアミスはあったようですが、一緒に入ったことはないんですよね。でも根掘り葉掘り聞けば、いろいろ教えてくれると思います。何しろ、八方さんのほうが私よりもずっと前からの常連ですし(^^)

シキさん。
いや、残念ながら、半額っていうのは、ウソですから。不況ですし、なかなかそんなうまい話はありません。
本読みホストはわかんないけど、腐女子向けコスプレホストクラブはあるそうですよ。王様ゲームなんて、南下望、すごいことになってるらしいです。

minさん。
なんかそれなりに需要はあるような気がしますが、でもたぶん本好きは、キャバクラに使うお金があったら本に使っちゃいそうなので、そのあたりがちょっと難しいような気がします‥‥。

黄黒さん。
いや、蜜柑でもありませんよ。まあそのうち、黄黒さんも‥‥。むふふ。
本について語ってる女の子を見るだけ、というのもフェチっぽくていいですね。たぶんあの店なら、そんな望みもかなえてくれると思いますよ‥‥、なんて(^^)
Posted by 清太郎 at 2010年04月01日 23:37
ブログとHPともに学校の宿題の参考に
読ませてもらいました。

とても参考になったのでコメントさせてもらいました。
Posted by tkm at 2010年04月07日 02:22
tkmさん。
なんだかよくわかんないけど、参考になったようでよかったですね。春休みに宿題なんて、いやですね。ではがんばって!
Posted by 清太郎 at 2010年04月08日 01:40
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Tracked: 2010-04-03 12:05

本読みHPブログ: 読書家向けキャバクラ「檸檬」体験記
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