2011年06月21日

初音ミクが電書店の一日店長になったよ!

えー、東日本大震災の津波で壊滅しちゃった本屋さんはいっぱいあって(もちろん、がんばって立ち直ってる本屋さんもいっぱいあって、応援してますが、それはそれとして)、製紙工場も大変なことになって紙が不足、それからインクも不足で、
「もう紙の本はダメだ。津波が来たらおしまいだ。もう紙はやめよう。脱・紙。これからは電子書籍の時代だ! 本棚はクラウドに限る!」
とばかりに、地震と津波をきっかけに電子書籍化の流れが一挙に加速するかと思いきや、ぜんぜんそんなことのない今日このごろです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

あの3・11以来、マスコミの話題が津波や原発寄りになっていることもあって、電子書籍のことなんて、なんかみんなどうでもよくなってきてるんじゃないかしら。
ていうか、津波と原発を言い訳に、なんとなくなし崩し的にうやむやにしていって、
「まあ電子書籍って、あれだよね、日本人の国民性に合わなかったんだよね‥‥」
といったところへもっていこうかしらん的なやる気のなさがミエミエのような気がします。
なにしろ、電子書籍元年に続く電子書籍2年も半ばを迎えようとする今になってすら、なお、
「電子書籍を買うのは、めんどくさい」
のです。
電子書籍(まどろっこしいので、以下「電書」)を買うには、いまだにいくつものハードルがあります。

(1)自分がどの電書を読みたいかわかっている
(2)その電書がどこの電書店で売ってるのか知っている
(3)その電書が自分の持っている端末で読めることを知っている
(4)その端末およびビューワーが電書を読むのにふさわしい

と、少なくともこのくらいのハードルがある。
これが紙の本であれば、本屋さんに行くのに、そもそも、
「自分がどの本を読みたいのかわかっている」
という人は、あんまりいないと思います。(たぶん3割くらいしかいない。特に、いわゆる読書家のほとんどは、買いたい本があって本屋さんに行くわけではないでしょう。まあ結局のところ、ネット上の電書ストアの魅力のなさは、それらが「電書を買うためのショッピングサイト」でしかないからだと思います。つまんないもの。)
自分がどんな本を買いたいのかわからなくても本屋さんに行けるのは、とりあえず本屋さんに行けば、規模の大小はあっても、それなりに現在出ている新刊の主だったところがざっくりと並んでいる、とわかってるから。(もちろん、本屋さんによって違いはいろいろありますが、それはそれとして。毎日何軒も本屋さんのハシゴをする人は少ないでしょうし。)
これが電書店となると、そうはいきません。今のところ日本語の電書に関しては、どんな大規模な電書店に行っても、現在出てる主だった電書がざっくり並んでるなんてことはありません。
というのも、もちろん、電書店ごとに扱っている出版社が違ってるからですね。
これはたとえば、家電量販店でいえば、
「うちは家電売ってますけど、冷蔵庫とエアコンは扱ってません」
とか、あるいは八百屋さんでいえば、
「うちは八百屋ですけど、キャベツと大根とトマトとピーマンと牛蒡と茄子とキュウリだけ売ってます」
とかいうようなもので、お客さんとしては、なんともめんどくさい。
要は、楽天やAmazonみたいに、それら電書店をぜんぶまとめた1つの窓口さえあれば、それさえあればいいという実に簡単な話なんですが、まあ何らかの大人の事情のようなものがあって、それができない。

そうした全般的なところだけでなく、細かいところでも、電書店の魅力はイマイチです。
たとえば、本の出版年。
一部の小説家の作品を除けば、本がいつ出版されたのか、というのはけっこう大切な情報です。その本の内容が古いのか新しいのかは、その本を読むかどうかを決める重要な基準のはずです。
なのに、この大切な情報がわからない電書店が多すぎる。
一例を挙げると、本のプロである丸善とNTT Docomoが組んでいる「honto」では、著者名・出版社・ブランド・支払方法・販売開始日・ISBNコード・紙の本サイズはパッとわかりますが、出版年は記されていません。
正直、販売開始日なんて、どうだっていいですよね。むしろ余計。紙の本サイズもPDFでなければ無意味な情報でしょう。
そうしたあまり必要ない情報はすぐわかるのに、出版年がわからない。「honto」で電書を買おうとすると(買ってないけど)、いちおうAmazonなどで出版年を確認してから買わないといけない、ということになります。

あるいは、「棚」の魅力のなさ。
リアル書店では、「棚」がそれなりに重視されますよね。魅力的な「棚」をもつ書店は、それだけで読書家から愛好されます。
話題になるような本屋さんは、それなりにどこも、「棚」のつくり方、本の見せ方に腐心してるわけです。リブロの「今泉棚」のような伝説的な存在になってるものもある。
なのに、電書店は、その「棚」が、何ともお粗末。
売れ筋とか新刊とか、本の表紙が漫然と並んでるだけ。何年も前に電子書籍が初めて出てきたときと、あんまり変わんない気がします。

そして、それより何より、あれがない。
あれです、あれ。
多くの本屋さんで、いつも待っている、あれ。
カウンターの向こうで、あるいは本棚のわきで、いつも一生懸命の……。
エプロン姿がとても似合っていて……。
そう、そうです。
あれです。
書店員さんです!
電書店には、書店員さんがいないのです!
というか、厳密に言うと、
「書店員のおねえさん」
が。
リアル書店にお客さん(男子のお客さん)が足を運ぶのはなぜか。
本を買うため、でもありますが、それは必ずしも多数派ではありません。
キャバクラに行く男性の目的が、お酒を飲むことではなく女の子とおしゃべりすることにある(よくわかんないけど、そうだよね?)のと同様に、本屋さんに行く男性の目的の一部は、ズバリ、
「書店員のおねえさんに会うこと」
であることは、周知の通りです。
当社アンケート調査(2010年)によると、都内の18〜25歳の男子が書店に行く理由(複数回答可)は、
・本を買うため・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21.5%
・ひまつぶし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67.7%
・書店員のおねえさんに会うため・・・・41.3%
・トイレに行くため・・・・・・・・・・・・・・・・・6.2%
なのです。数の上では、本屋さんは本を買うための場所ではなく、むしろ、書店員のおねえさんに会うための場所であるといってもいい。
本が好きな多くの男子が、
「エプロン姿でわたわたと働いてるおねえさんが見たい!」
とか、
「軽やかな手さばきで瞬く間に本にカバーをかけてくれるおねえさんの熟練の技を堪能したい!」
とか、
「そのおねえさんがつけてくれた本のカバーに頬ずりしたい!」
とか、
「レジにエッチな本をもっていったときの、あの毒虫でも見るかのような冷たくキツいおねえさんの視線を浴びたい!」
とか、とにかくそんな熱い希望と期待を胸に、本屋さんに足を運んでいるといってもいい。
なのに、それなのに!
その重要な書店員のおねえさんが、おお、なんということか! 電書店には一人もいないとは、何事か!!
なんという手抜かり!
なんという過ち!
これもまた、電子書籍で一山当ててやろうとか他社に後れをとるなとか、売り手側が自分たちのことしか考えていないことの証左でしょう。
本当にお客さんのことを考えて電書店を開くのであれば、お客さんが本当に求めているもの、すなわち書店員のおねえさんを用意すべきなのです!

しかし、まあ、そこはそれ。
過ちて改めざる、これを過ちという、と孔子もいってます。
これまでの過ちを糾弾してばかりでは、前に進まない。
ミスがわかったら、修正すればいいんです。
これまで電書店におねえさんを置かなかったことを反省し、今日からでも頑張ってプログラムをつくって、電書店員のおねえさんを登場させればいいのです。
どんなおねえさんにするか――リアルっぽい3Dおねえさんにするか、アニメで萌えなおねえさんにするか――は、それぞれの電書店がユーザーの嗜好に合うように知恵を絞ればいい。
あるいは、以前書いた「i文学少女」のように、訪問したユーザーがそれぞれ自分で選べるようにしてもいいですね。
選択肢の中には、
「何よ、また来たの?」
なんていう、ツンデレ書店員さんがいてもいい。
でもって、そんな書店員のおねえさんとのコミュニケーションも、電書店の楽しみになるのです。
リアル書店のおねえさんとは違って、何度も買い物しているうちにだんだん仲良くなれて、やっぱり「i文学少女」のように、いずれは店外デート、同伴出勤、でもって夏は、
「み、みみみ、水着も!!!」
ということになるのだったら、ウブな文学青年は、もう、大興奮間違いなしです。

あるいはまた、電書店オリジナルのおねえさんだけじゃなくて、人気のアニメやゲームのキャラに書店員を務めてもらうのも一案でしょう。
いや、そんなキャラクター書店員こそ、リアル書店では実現不可能な、電書店ならではの魅力となるはずです。
たとえばいきなり初音ミクが一日店長になって、電書を買うと、その電書の最初の10行くらいを歌にしてその場で歌ってくれる、なんていうイベントがあったら、試しに1冊くらい購入してみる人はいっぱいいるんじゃないでしょうか。

まあ僕としては、それほど初音ミクには興味がないので、どうせなら一日店長はガンダムに出てくるセイラさんかエヴァのアスカあたりにやってもらいたい。そうしてわざとエッチな本を買って、毒虫でも見るかのような冷たくキツい視線を浴びせかけてもらいたいです‥‥。


posted by 清太郎 at 21:54| Comment(8) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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