2009年12月30日

2009読書界番付

今年も残すところ、今日と明日。皆様いかがお過ごしでしょうか。 そんなわけで、年末恒例企画の「読書界番付」をまとめたいと思います。毎度ながら、
「どれだけ売れたか、だけではなく、話題性やインパクトの大きさ、将来性、私の個人的趣味といった各要素を勘案したうえで」
の順位付けです。
一昨年昨年に比べると、なんだかパッとしませんが‥‥。


読書界番付

西
1Q84 横綱 電子書籍
ブランドムック 大関 太宰治
ONE PIECE 関脇 大日本印刷
リーマン本 小結 貧困本
戦国本 前頭1 オバマ本
加藤周一 同2 高遠ブックフェスティバル

以下、解説です。

■横綱
1Q84
電子書籍

今年の新刊で社会的にも話題になったベストセラーって、『1Q84』しかないんじゃないでしょうか。1月にエルサレム賞で注目を集めた後、久々の長編でさらに話題をかっさらい‥‥、と2009年は村上春樹一人勝ちでした。
ノーベル文学賞にも、もしかして‥‥、と(ファンと出版社が)期待しましたが、そちらは残念でした。(ハルキ読者じゃないからよくわかんないけど、村上春樹ってそんなにノーベル賞に近いの? 欧米でもよく読まれているのはわかってるけど、今ここで読む意義とか、そういう選考委員会好みの政治性を考えると微妙だし‥‥。)

一方の電子書籍は、まあこれといって何か大きな話題があったわけではありませんが、あだ花で終わった「コルシカ」のサービス(購入した雑誌をウェブでも読める)とか、iPhoneアプリとして読める雑誌(クーリエジャポン)とか、同じくiPhoneで雑誌を有料配信するMagastore(どれだけ使われてるのかしら)とか、ディスカヴァー・トゥエンティワンの「デジタルブックストア」とか、国会図書館の蔵書デジタル化とか、Kindleが日本でも発売とか(青空文庫なら読める)、amazon.comの1日の売上でKindle向けが紙の本を上回ったとか、そうしたもろもろを合算して横綱に。ついでに今後の期待も込めて。
日本雑誌協会が来月から「雑誌のデジタル配信に向けた実証実験」を開始するというし、なんとなく電子書籍化への「風が吹いてきた」ような気がしますが、どうなることやら。まあ一般の新刊書籍が専用端末やケータイで少し安く読めるようになるまでブレイクスルーはないでしょうけど‥‥。

■大関
ブランドムック
太宰治

ChuChuやらマリ・クレールやら、今年もメジャータイトルが休刊になった女性誌界ですが、そこそこ元気だったのが宝島社でした。sweetやInRedなんかで付録をつけるだけでなく、一冊丸ごと1ブランドで付録のついた「ブランドムック」が完売続出とか何とか、ニュースになりました。
でも、いつでも女の子が大好きな、そんな「安くてかわいい」路線もいいですが、それに対抗して、
「オリジナルバッグ付き・丸ごとヴィトンムック」(10万円)
なんていうのがひとつくらい出てくれると楽しいと思います。

今年はまた、太宰治、松本清張、大岡昇平、埴谷雄高、中島敦と、今年は何人ものメジャー作家の生誕百年でもありました。1年終わって、勝者は太宰、2位が松本清張、でした。
ただ、太宰治フィギュアが商品化されなかったのが、残念です。

■関脇
ONE PIECE
大日本印刷

朝日新聞の12月4日付け朝刊で、9面をジャックした「ONE PIECE」。このところ元気のないコミック市場にあって、大きな話題になりました。第56巻の初版発行部数は285万部と史上最高を記録したそうです。「メンズノンノ」の表紙にもなったし。
映画も好調で、「宇宙戦艦ヤマトを初日に見に行ったら、すごい行列で、ヤバイ!と思ったんだけど、ヤマトのほうはガラ空きで、並んでたのはONE PIECEだった」なのだそうです。

業界では大日本印刷の動きが目立ちました。昨年、図書館流通センターと丸善を子会社化してましたが、今年は3月にジュンク堂を子会社化、5月には主婦の友社の筆頭株主になって、さらにブックオフへの出資を決定、9月には傘下のジュンク堂が文教堂の筆頭株主に。
今年はそれほど大きな出版社の倒産がありませんでしたが、代わりに着々と業界再編が進んでいるのかもしれません。ただし、こうして提携や経営統合した先のビジョンというのが、まだハッキリしないのだけど。近所のブックオフも、あいかわらず元のままのブックオフだし‥‥。

■小結
リーマン本
貧困本

リーマン本といっても、もちろん数学のリーマン予想ではなく、「ぼく、オタリーマン」とかそっちのリーマンでもなく、昨秋のリーマンショックのほう。さあいよいよ世界恐慌か、いや日本は大丈夫かも、とリーマンショックと恐慌関連のビジネス本、経済本が一時期、本屋さんの店頭を彩りました。

このリーマンショックと関連して、湯浅誠や雨宮処凛らの「反貧困」ものをはじめ、昨年に続いて貧困をテーマとした本もいろいろ出ました。今年は、貧困の現状告発本が一巡して、政権交代と相俟って、貧困を克服するためにはどうすればいいのか? といったようなテーマの広がりが見られました(ベーシックインカムの議論など)。
ところで、この貧困ブームの端緒になったのは、一昨年の赤木智弘「『丸山真男』をひっぱたきたい――31歳フリーター。希望は、戦争。」でしたが、思えば雑誌発で社会にインパクトを与えたのって、このときが最後だった気がします。寂しい。

■前頭一枚目
戦国本
オバマ本

大河ドラマの直江兼続が女性に人気だったことに加え、「戦国BASARA」などのゲームから広がった「歴女」が市民権を得て、これまで主に中高年男性向けだった歴史本が、少し華やいだものになりました。印象的だったのは、「“戦国BASARA”武将巡礼」シリーズや「戦国武将ぴあ」、「戦国武将お墓参り手帖」のようなガイドブック的な本です。
次は「竜馬伝」と「坂の上の雲」ですから、来年は幕末〜明治をテーマに同様の書籍(幕末志士巡礼、幕末ぴあ、幕末志士お墓参り手帖)が出そうです。
でもって、幕末ぴあに対抗して、「幕末Walker」「るるぶ幕末」「幕末一週間」などが出ると、楽しそうです。

また、年の初めには、演説集をはじめとするオバマ本も流行しました。政権交代で民主党本もいろいろと出ましたが、ベストセラーになる前にみんな政権に幻滅しちゃったみたい‥‥。

■前頭二枚目
高遠ブックフェスティバル
加藤周一

夏の終わりに、鉄道の駅もない山間の小さな町で、「ブックツーリズム」のイベントが開かれました。それが今年から始まった「高遠ブックフェスティバル」です。都心の一箱古本市とか、こういうのをきっかけに、草の根の読書ムーブメント、本との出会いを演出するイベントがどんどん開かれるようになるといいなあ。

加藤周一は昨年の12月に死んだ評論家・医者。没後、「やっぱり加藤周一はすごかったなあ」ということで、著作集やら何やらが刊行されました。
今年はレヴィ=ストロースが死んで、やっぱり著作が少しずつ出ていますが、むしろ庄野潤三の小説をどんどん文庫化してほしかった。

ということで、以上でおしまい。
一昨年の番付は前頭6枚目まで、昨年は同3枚目までの番付をつくりましたが、なんだか年を追うごとに番付が寂しくなっていきます。
しょんぼり番付の候補はいっぱいあるんですが、なんだか余計悲しくなりそうなので、今年の読書界しょんぼり番付は無しです。(単に、メンドーだから、でもあるけど。)
ちなみに、しょんぼり番付候補は、いっぱいある休刊雑誌や2兆円を割った出版市場はもちろんですが、大関か関脇には、ぜひ埴谷雄高を推したいところです。せっかくの生誕百年で、マンガ版「死霊」とか、「死霊完結編」とか(「死霊」は未完です)が出るのを期待したけど、埴谷雄高のことが少しも話題になりませんでした。

さて、明後日からはいよいよ、
「国民読書年」
が始まります。
1年後、この「国民読書年」が、「読書界しょんぼり番付」に顔を出さないといいのですが‥‥。


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2009年12月20日

ガンダム×ハーレクイン

えー、そろそろ終わりが近づいている2009年。今年はガンダム30周年ということで、いろいろ話題になったわけですが、そういえばハーレクイン日本版も創刊30周年だったんですね。最近、初めて知りました。
ガンダムが、
「もう30周年か‥‥」
という感じなのに対し、ハーレクインのほうは何となく、
「えっ、まだ30周年だったの?」
ではあるのですが、まあとにかく、ガンダムとハーレクイン日本版、お互い偶然にも同じ年生まれ同士、これからも手を携えて、ひとつひとつ年を取っていくことになるわけです。

そんな浅からぬ縁がある両者、せっかくですから、ときにはコラボしてもいいのではないでしょうか。
ガンダムって、見方によっては単なるロボットアニメでしかないかもしれませんが、しかし、その作品中には、多彩な女性キャラと、それに付随するドラマがあふれています。
そうした女性キャラをヒロインに仕立てて、ガンダムの物語をハーレクインの文法とレトリックで編みなおせば、立派なハーレクインロマンスが次々と生まれるはずです。

ということで、例の通り、ハーレクイン風のあらすじで、いくつか作品を考えてみると‥‥。

「めぐりあいの宇宙」

自分を拾ってくれた大佐のために尽くす東洋美人ララァ。やさしくて強くてミステリアスな大佐への愛は、本物だと思っていた。しかし、ララァはふと疑問に思う。大佐、あなたはあたしに、“お母さん”を求めているの‥‥? そんなある日、ララァは、敵方、連邦の少年兵士アムロに出会う。青くさくて一途なアムロと戦う中で、彼に惹かれていく自分の気持ちを、ララァは押しとどめることができなかった。でも、彼は敵なのよ! 愛しちゃいけないわ。それに、あたしには大佐が‥‥。「あなたの来るのが遅すぎたのよ」「遅すぎた?」「なぜ、なぜ今になって現れたの?」 そんなララァの心の揺らぎを、大佐は許さなかった。「ララァ、奴とのざれごとはやめろ!」 宇宙を舞台にした三角関係の行方は‥‥!?

「愛の密航者」

幼い弟と妹を養うために、ミハルにできることは、間諜になることしかなかった。今度のターゲットは、連邦の新型軍艦。ニヒルなように見えて案外単純な乗組員カイをだまして、まんまと潜入に成功したミハル。だが、秘密工作中の姿を、カイに見られてしまう。ど、どうしよう‥‥。しかしカイは、すべてを知ったうえで、ミハルのことをかばってくれたのだった。「わかってるよ。あんなに兄弟思いのあんたが俺を想って来たなんていうのは嘘だってこと」。温かく包み込みこんでくれるようなカイの愛に、ミハルは初めて女の悦びを知るのだった‥‥。そして、愛に目覚めたミハルは、カイのために尽くそうとするのだが‥‥。大西洋を血に染めて、愛は悲しい結末を迎える‥‥。

「ママと呼ばないで」

名家の令嬢として育ったミライも、今や軍艦の操舵手として、前線でバリバリ働いている。しかし、彼女の周りの男は、いまひとつ、パッとしない。婚約者だった男は、優柔不断のうえ、女が立派に働けることを認めようとしないボンクラ。いつもそばにいる艦長も、あたしに気があることはバレバレなのに、いつまでたっても手を出そうとしない。艦内のほかの男たちときたら、あたしのことをお母さん呼ばわりするガキどもばかり。あたしはあなたたちのママじゃないのよ! ああ、どこかに、あたしを満足させてくれる男、強くて頼りがいのある、本当の男はいないのかしら‥‥。そんな彼女の前に、彗星のごとく現れたのが、少しやさぐれた、あの男だった。スレッガー中尉。艦内のみんなが見ている前で、彼があたしを平手打ちしたとき、あたしの身体の奥深くに、電撃が走った‥‥!

「仮面の剥ぎ取って」

名門ザビ家の長女として、軍を統括するキシリア。彼女はこの年になるまで、本当の恋愛というものを知らぬままだった。わたしの周りの男どもときたら、誰もが犬のような目をした奴ばかり。少しは見所があるかと思ったあの痩せぎすの部下も、単なる骨董マニアの変態だった。ああ、どこかに、わたしの身も心も荒々しく奪ってしまうような男はいないのかしら‥‥。そんな鬱屈した気持ちを抱える彼女は、ある日、ひとりの男の存在に気づく。かつて彼女の愛する弟を守りきれなかった男。いや、見殺しにしたのかもしれない男。年下のその男が、仮面の奥からわたしを見つめた瞳に、危険な、けれど激しくたぎるような何かを感じてしまったのだ! 彼ならば、わたしのこの飢えと渇きを満たしてくれるかも‥‥。すぐに彼を直属の部下へと抜擢すると、キシリアは静かに、男の周りに網を張り巡らしていくのだった。女郎蜘蛛のように‥‥。そしてついに、彼女の前に、男がみずからのすべてをさらけ出すときがきた‥‥! 「いざとなると恐いものです。手の震えが止まりません」。だが、やがて、そんな年下の彼から、手痛いしっぺ返しを‥‥!?

‥‥って、しかし、よく考えると、こんなの、それこそ30年前からありそうですよね。
公式には発売されてなくても、コミケなんかでは、こうしたアニメを題材にしたハーレクイン同人誌があふれているに違いありません。
上記のような物語も、それこそ毎年何十冊単位で発表されているような気もします。
いや、むしろこんな実際のストーリーをなぞった物語なんて、もうとっくに、3年目くらいで消費し尽くされて、あとは作中に登場するあらゆる男女を、あらゆる設定で組み合わせたハーレクイン(たとえば、ルナツー舞台にしたハモン・ラル×ククルス・ドアンの人妻強奪ものとか、ベルファストを舞台にしたイセリナ×マーカーの一夜の情事ものとか)が出てるかもしれません。
うーむ、勉強不足でした。素人の浅はかな考えでした。出直してきます‥‥。


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2009年12月13日

今年読んだ本から(2009)

えー、師走だから忙しい、というわけではないんですが、例の通り更新が停滞しております。申し訳ない。
そろそろまた読書界番付とか考えないといけない時期ではありますが、ひと言で言えば、今年もやっぱり、出版界にとってはわりと残念な一年でした。はー。
ということも含め、いろいろと考えることもあって、やっぱりおもしろかった本は、「おもしろかった!」と、小さな声でいいから発信しておくべきなんじゃないか、と最近思うようになりました。
と、そんなわけで、「今年おもしろかった本」。
本に関するブログでありながら、「今年のベスト」とか何とかそういう年末スペシャル企画をこれまでやったことがありませんでしたので、一見すごく月並みな企画に見えて、このブログとしてはわりと思い切った企画です。
ただ、ベスト10とか20とか、順位付けしようとすると、えー、えー、どうしよう、えーい、もう、みんなが一等賞! とか何とかめんどくさいことになりそうなので、印象に残った本を思いつくままに挙げていきます。対象は、2008〜2009年出版の書籍とします。

ということで、第一位は‥‥。
って、順位付けしないんじゃなかったのかい!
といわれそうですが、でも実際、ホントによかったのが、これ。

フィリップ・クローデル『ブロデックの報告書』みすず書房、2009

村人たちによる余所者の集団殺人について記録することを命じられた僕、ブロデックは‥‥。ナチスと強制収容所、共同体と差別、記録と記憶、さまざまなテーマを織り交ぜつつ、あくまで硬質に澄んだ文章で、静かに進む物語。○○が××されるシーンなんて、嫌なんだけどでももう息を呑む美しさだったりして、年のはじめに読んで、ああ、これが今年のベスト小説かも、と思っていたら、結局そうだった気がします。たまりません。



あとは、順不同で。

ジュンパ・ラヒリ『見知らぬ場所』新潮社クレストブックス、2008

発行は2008年ですが、こちらもたまらん短編集。とくに、表題作。“コミュニケーションの果ての断絶、ディスコミュニケーションの果ての希望”というラヒリお得意のテーマで正面からの直球勝負。なんかもう、間然するところなし! といった感じ(まあ、まとまりすぎかもしれないけど)の一品でした。



瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』理論社、2009

えーと、これは、「青春100連発」なんていうタイトルを見て、エー、ホントかよー、シンプル癒し系の瀬尾まいこのくせに、何が100連発だよ、大げさだなー、と思ったら、ホントに100連発(以上)だったのでビックリした作品。
冒頭から数えていくと、
1発目:片思いの女の子・岡野さんと下校
2発目:でも、岡野さんが好きなのは、自分の兄
3発目:彼女から、その兄へのラブレターの代筆をしてくれと頼まれる
4発目:なんで代筆かっていうと、「的を射た言葉で書いてあれば、こいつわかってるやんと思われて、好印象を与えて、岡野さんってちょっとええかもって思われて、ほんで……」と妄想を勝手にふくらませる
5発目:でも兄は卒業したら東京に行くからもう会えない。「ええの。会えなくたって私の気持ちさえ伝われば」
ここまででまだ4ページ目。全部で320ページあるから、この割合だと、400連発まであることになります。すごい。



伊沢正名『くう・ねる・のぐそ』山と渓谷社、2009

 野糞を始めて35年、21世紀に入って一度もトイレでウンコをしていない、という著者のノグソの記録(袋とじ付き)。なんていうと、ビミョーなサブカル本に見えるけど、著者は菌類写真家だったりもして、そのノグソには科学と信念の裏づけがあるから、けっこう納得。決してベストセラーになりえない内容だけど、こういう本はちゃんと読まれてほしい。



今野浩『すべて僕に任せてください―東工大モーレツ天才助教授の悲劇』新潮社、2009


金融工学の第一人者である今野が、将来を嘱望されながら若くして死んだ弟子・白川浩(東工大モーレツ天才助教授)との出会いからその最期までを描く。白川浩、誰かに似てると思ってたら、羽海野チカ『3月のライオン』に出てくる二海堂くんでした。



吉田重人・岡ノ谷一夫『ハダカデバネズミ』岩波書店、2008

ハダカデバネズミの社会には、自ら肉布団となって下に敷かれることを仕事にしている「ふとん係」がいます。



アダム・リース・ゴウルナー『フルーツ・ハンター―果物をめぐる冒険とビジネス』白水社、2009


オオミヤシ(coco de mer)という植物の実が、女性のおしり(とその周辺)にそっくり! というので、思わずGoogleで画像検索してしまいました。たしかにおしり(とその周辺)にそっくりでした。



長嶋有『ねたあとに』朝日新聞出版、2009

作中に出てくるオリジナルゲームが楽しそう。「ケイバ」とか「ダジャレしりとり」とか。いちばん気になるのは「顔」。少年時代のロクローとヒキオ君がつくったもので、名前、年齢、生まれなどの細かな項目をさいころで決めていって人物像をつくりあげる。レトロなディテールと、微妙なセンスが素敵です。王冠コレクター、困ると相手を殴る、顔に膏薬を貼ってる、鼻がお茶の水博士‥‥。



寄藤文平『元素生活』化学同人、2009

ハロゲン族はハゲで、希ガスはアフロ、と元素をキャラクター化すれば覚えやすいしわかりやすい。という発想に脱帽。
化学同人って、最近わりと楽しみな出版社です。



きしわだ自然友の会『チリモン博物誌』幻戯書房、2009

ちりめんじゃこに入ってるちっちゃいタコやらカニやら他の魚やらを全部集めてみました! ちりめんじゃこって、日本全国どこでも同じようなもんかと思ってたら、ぜんぜん違うのね。地方ごとにかなり違うみたい。本書に出てくるのは、大阪のちりめんじゃこ。関西出身ならもっと楽しめたと思う。



芹沢一也・荻上チキ(編)『経済成長って何で必要なんだろう?』光文社、2009

リーマンショックのせいで失業者になりかけたので、今年はこの手の本がけっこう切実に心に響きました。雨宮処凛・飯田泰之『脱貧困の経済学』とか、阿部真大『ハタチの原点―仕事、恋愛、家族のこれから』とか、メアリー・C・ブリントン『失われた場を探して―ロストジェネレーションの社会学』とか。



藤野千夜『親子三代、犬一匹』朝日新聞出版、2009

親子三代よりも、むしろ犬小説。登場人物のひとり夕樹は、飼い犬のトビ丸(♀)に対して「かわいーね、トビ丸、まじ可愛い、トビ可愛い」と言ってますが、うちでもグスタフに対して「グスタフ、まじ可愛い、グス可愛い」と言ってます。



アラン・ベネット『やんごとなき読者』白水社、2009

エリザベス女王がもし女王に夢中になったら‥‥、という読書小説。本、読みたくなります。気になるのは、BBCで働いていたゲイのJ・R・アカーリー『僕の犬チューリップ』と、19世紀の牧師で小さい女の子が好きな(ただし、ルイス・キャロルよりもっとひどかった)キルヴァートの日記。



千野帽子『読まず嫌い。』角川書店、2009

いわゆる「名作」の読み方に搦め手から光を当ててくれて、これも本読みたくなる本。特に気になるのは、シュピッテラー『少女嫌ひ』。100年前の作品なのに、ロリ&ツンデレ&ミリタリーコスという現代のマニアの萌えツボを突きまくるゲジーマたんに悶絶。



管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』左右社、2009

こちらも本が読みたくなる本。詩的な表現に、うっとりです。「本を買うことは、たとえばタンポポの綿毛を吹いて風に飛ばすことにも似ている。この行為には陽光があり、遠い青空や地平線がある。心を外に連れ出してくれる動きがある」とか。これに出てきた宮本常一『民俗学の旅』、早速読んでみたら、おもしろすぎて、たまげた。



梨木香歩『f植物園の巣穴』朝日新聞出版、2009

『ゾッド・ワロップ』(ウィリアム・B・スペンサー、角川書店、2000)の味わい。



エルサ・モランテ『アンダルシアの肩かけ』河出書房新社、2009

短編集。モランテは初読みでしたが、なんというかソログープっぽい幻想的作品がいい感じ。表題作もたまらんけどね。



綾辻行人『Another』角川書店、2009

こ、ここは第三新東京市ですか!? というくらい、キャラがみんなエヴァ。



と、ほかにもいろいろおもしろい本を読んだような気がするけど、そろそろ飽きてきたので、このへんで。(腰くだけ。)
それにしても、こうして振り返ってみると、今年はわりとヌルめの本ばかり読んでた気がする。からだが無意識に癒しを求めているのかしら‥‥。


posted by 清太郎 at 23:11| Comment(3) | TrackBack(0) | おすすめ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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