2009年10月31日

ガンダム文庫創刊

あいかわらずの不況です。
景気はなかなか上向きになりません。
誰もが、財布の紐をがっちり締めるばかりです。
そんな中、メーカーや小売の人たちは、なんとかして商品を買ってもらおうと、いろいろ工夫を重ねています。
その工夫のひとつが、
「キャラクターとのタイアップ」
なかんずく、
「ガンダムとタイアップ」
ということで、真っ赤なシャア専用アイスにシャア専用カップヌードル、ガンプラ付きカップヌードル、包み紙に名セリフ・名場面が載ってるニュータイプ専用ガムといった、
「こんなのがシャア専用で、いいのか?」
と若干疑問に思わなくもない商品が次々と発売され、それなりに話題になっています。
これらの商品のターゲットとなっているのは、ガンダム好きな人、とりわけ、
「ガンダムだから、とりあえず買っちゃう人」
です。
不況だし将来も不安だし生活にそんなに余裕はないけれど、でもガンダムのために使う数百円くらいなら、もったいないとは思わない、という層が、確実に存在するのです。

というわけで、われらが出版界も、その「ガンダムだから、とりあえず買っちゃう人」に、本を買ってもらってはどうでしょうか。
サンライズ(あるいは創通エージェンシー)に渡りをつけて、新レーベルの文庫を創刊するのです。
名付けて、
「ガンダム文庫」
(そのまんますぎるかしら?)

ガンダム文庫の魅力は、何といっても、
「表紙がガンダムであること」
これに尽きます。
表紙がガンダムなだけで、「ガンダムだから、とりあえず買っちゃう人」は、思わず心ときめくこと、間違いなし。
さして興味のない文学作品が中身であっても、ついつい手が伸びてしまうのです。

たとえば、新訳古典文庫がベストセラーになった「カラマーゾフの兄弟」も、表紙がガンダムになれば、話題再燃です。

カラマーゾフ表紙.gif


シャアが表紙なら、女子の需要も喚起できるはず。

あしながおじさん表紙.gif


ほかにも‥‥、

パノラマ島表紙.gif

痴人の愛表紙.gif

恩讐の彼方に表紙.gif



ただ、表紙だけガンダムでは、いずれ飽きられます。
せっかくサンライズだか創通だかと組んでいるんですから、もっとふんだんにガンダム素材を使いたいところ。
多少コストがかさみますが、挿絵にガンダムを入れてみてはどうでしょう。
たとえば、宮澤賢治「よだかの星」の冒頭には‥‥。

よだかの星.jpg
《よだかは、実にみにくい鳥です。
顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。》


森鴎外「舞姫」の終盤、エリスが豊太郎の帰国を知る場面には、こんな感じ。

ララア.jpeg
《面色さながら土の如く、「我豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺き玉ひしか」と叫び、その場に僵(たふ)れぬ。》


太宰治「駆け込み訴え」。

ギレンの演説.jpg
《申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷い。酷い。はい。厭な奴です。悪い人です。》



ビジュアルだけでなく、いっそのこと中身の文章もガンダム化してもいいかもしれません。
名前を変えてみるだけでも、ずいぶん雰囲気が変わります。
お馴染みの「走れメロス」を使うと、こんな感じ。
あ、タイトルはメロスじゃないですね、「走れガンダム」になります。

走れメロス表紙.gif


冒頭、《ガンダムは激怒した。》
激怒した.jpg



《必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。》
邪知暴虐.jpg



そこからいろいろあって、身代わりになった友を救うために、ガンダムは、走る、走る!
ああ、ガンダムは間に合うのか。
《すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれたザクは、徐々に釣り上げられてゆく。》
つりさげ.jpg



《「私だ、刑吏! 殺されるのは、私だ。ガンダムだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」》
メロスはここにいる.jpg



殴りあう二人の友。
なぐりあう2人.jpg



そして感動のシーンに水を差す、太宰ならではのラスト、
《「ガンダム、君は、まっぱだかじゃないか。」》
《勇者はひどく赤面した。》
まっぱだか.jpg



しかし、出版界は柳の下のドジョウなので、このガンダム文庫が成功すると、その後、続々と、
・ドラえもん文庫
・ディズニー文庫
・ハローキティ文庫
などが創刊されることでしょう。

たとえば、ドラえもんが表紙の「吾輩は猫である」とか、のび太が表紙の「人間失格」とか、ジャイアンが表紙の「蠅の王」とか、あるいは、

美少女表紙.gif

‥‥うーむ、これはこれで、案外いいかもしれません。



posted by 清太郎 at 17:40| Comment(6) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月18日

小説イントロクイズ

その昔あった「クイズ・ドレミファドン!」というテレビ番組(今でも特番なんかでたまに見かけるけど)で、歌謡曲のイントロ部分だけ聴いて曲名を当てる「イントロクイズ」が人気でしたが、あれを小説でできないか。
神保町の古本まつり(今年は10月27日〜 11月3日です)か何かの会場に、特設ステージを用意して、壇上には読書ファンなら誰もが知っている書評家さん、本読みがズラリ。クイズ王も参戦。
「それでは皆さん、お待ちかねの『クイズ・アイウエオン!』が始まります!」
わー、わー、パチパチパチパチ。
「それでは、一問目‥‥」
かたわらのお姉さん(朗読カフェのバイト歴2年半、朗読には自信があります)が、高らかに読み上げます。
「あほう‥‥」
「ピンポーン! ハイッ」
「おっ、早いっ、では回答をどうぞ!」
「内田百ケン、『第一阿房列車』」
ピンポンピンポンピンポーン!
「おおーっ」
会場から、どよめき。
「さすがですねえ。第一阿房列車。『阿房と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない』、ですね。では、第二問」
「あさ‥‥」
「ピンポーン! 太宰の『斜陽』!」
ブブー。
「残念、お手つきは一回休みです」
「あさ、めをさます‥‥」
「ピンポーン! 『世界の中心で、愛をさけぶ』!」
ブブー。
「ざんねーん、セカチューは、『朝、目が覚めると』です。もう一度最初からいいますよ」
「あさ、めをさますときのきもちは、おもしろい」
「ピンポーン! 太宰治『女生徒』!」
ピンポンピンポンピンポーン!
と、こんな感じ。

まあ別に、小説の冒頭数文字からその作品名を当てたところで、書評家としても読書家としても、何の自慢にもなりません。和歌の研究者や歌人が百人一首のカルタ大会に強いわけではないのと同じです。
「こんなの出たところで、しょーもないんだけどねー」
というのが本音ではあるんですが、とはいえ、衆人環視、しかも優勝賞金(図書カード10万円分)がかかっていますから、眼の色はけっこう本気です。
「腹上死だった‥‥」
「ハイッ、酒見賢一『後宮小説』!」
「第三のコース‥‥」
「ハイッ、『火宅の人』!」
「無人島に持っていく五枚のレコード‥‥」
「ハイッ、ホーンビィの『ハイ・フィデリティ』!」
もちろん、ステージの回答者がわからない問題も、多々あります。4、5行分くらい読んで誰も答えられないと、観客席で、
「あっ、僕、わかった!」
と手を挙げる人がいて、
「おっ、お客さんがおわかりになったようですね、はーい、では、どうぞー」
なんて。お客さんが正解したら、その場で500円の図書カードを進呈。この時点で、優勝賞金は図書カード9万9,500円分となります。
回答者は、
「いやあ、わかんないもんですねえ。ハハハ。あ、でも回答されたかた、スゴイッ」
なんていいながら、眼はぎろりと鈍い光を放ったりして、意外にヒートアップするかもしれません。

しかしこれ、回答者だけでなく、出題者の見識も問われますね。
誰もが知ってるような有名な書き出しではつまんないし(たとえば、「我輩は猫‥‥」とか「国境の長いトンネルを‥‥」とか「木曽路はすべて山の中‥‥」とか)、知らなくてもいきなりタイトルがわかっちゃうような書き出しもダメです(たとえば、「ロリータ‥‥」とか「セバスチャン・ナイトは‥‥」とか「この自伝を、僕は『フェルマータ』と名付ける‥‥」とか「西の魔女が死んだ‥‥」とか)。
もちろん、誰も知らない小説だったり、とりたてて特徴のない、おもしろみのない書き出しでも、観客席からブーイングの声が上がります。
そこそこ知られた作品で、わりと印象的な書き出し、でもって正解すると「おおー」といわれるような、そんな問題じゃないといけない。

試しに、いくつか挙げてみましょうか。本棚から、てきとうに見つくろってみます。(ちなみに、私自身、ちっともわかんないと思います。)

(1)一杯のカクテルがときには人の運命を変えることもある。
(2)今日は、陸軍大臣が、おとうさまのお部屋を出てから階段をころげおちた。
(3)父さんが熊を買ったその夏、ぼくたちはまだ誰も生まれていなかった――
(4)一月一日 曇 もぐらと一緒に写真をとる。
(5)これは完全に調和した、みずみずしくも、アメリカそのものの、美しい図書館である。
(6)はたちの誕生日を前にして、とくべつ欲しいものはなかったが、父が死に、不動産とハムスターを一匹もらうことになった。
(7)猫が飛び降りる時、安全に着地出来るのは、どのくらいの高さが限度なのだろう。
(8)眠い――といえば高校生の頃は、朝起こされる時本当に眠かった。
(9)いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう。
(10)この海に浮かぶ道路は、いったいどうやって造ったのでしょう。










どうでしょうか。
正解は、以下の通り。おわかりになりましたか?
(1)佐藤正午『ジャンプ』
(2)武田泰淳『貴族の階段』
(3)ジョン・アーヴィング、中野圭二訳『ホテル・ニューハンプシャー』
(4)川上弘美『椰子・椰子』
(5)リチャード・ブローティガン、青木日出夫訳『愛のゆくえ』
(6)栗田有起『ハミザベス』
(7)山田詠美「シャンプー」(『姫君』所収)
(8)北村薫「織部の霊」(『空飛ぶ馬』所収)
(9)吉本ばなな「白河夜船」
(10)シュペルヴィエル、永田千奈訳「海に住む少女」

とはいえ、このイントロクイズ、実際にやってみると、どうなんでしょう。イベントとして、果たしてちゃんと盛り上がるのか。
年をとってくると、
「50ページくらい読んだところで、“あっ、これ、読んだことのある本だった”ということに気づく」
というのが珍しくなくなることを考えると、結局のところ優勝するのは、クイズ王のような気もします。


posted by 清太郎 at 08:15| Comment(6) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月12日

アニメ「青い文学シリーズ」

当日になって初めて知ったんですが、去る10月10日から、「青い文学シリーズ」というアニメ番組が始まってます。日本テレビで、とりあえず関東だけの放映みたい。(まあどうせ、youtubeやら何やらで、どこでも見られると思いますが。)
第1回は「人間失格」で全4話構成、その次が「桜の森の満開の下」、その後「こゝろ」「走れメロス」「蜘蛛の糸」「地獄変」、ということで、そう、あれです。「ナツイチ」です。

《大好評を博した集英社の「ナツイチ」で展開されている文豪たちの名作の表紙を、「DEATH NOTE」や「バクマン。」の小畑健、「BLEACH」の久保帯人、「新テニスの王子様」の許斐剛ら人気漫画家たちが描き下ろしたスペシャルカバーが、 TVアニメ「DEATH NOTE」や劇場用アニメ「サマーウォーズ」を手がけた日本屈指のクリエイター集団「マッドハウス」の手により、前代未聞のアニメーションとなって登場する!》(日テレ公式サイトより)

ということなのね。
おお、そんな話が水面下で(というほど隠してたわけじゃないんだろうけど)進んでいたのね! なかなかやるじゃないのよ、集英社。

そんなわけで、当ブログでもそんな企画はぜひとも応援せねばなるまい、ということで、以下、第1話をまとめてみました。

人間失格タイトル.jpg

冒頭は、「人間失格」の(あまり知られていない)最初の一行の場面から始まります。
《私は、その男の写真を三葉、見たことがある。》
ですね。

人間失格写真.jpg

こんな可愛らしく見える男の子だった主人公・大庭葉蔵ですが、成長すると、
《恥の多い生涯を送って来ました。》
ということになります。

どのくらい恥が多かったかというと、

人間失格チャック.jpg

「イタタタ、チャックに挟まった」




人間失格お店.jpg

「じゃあこのお兄さんにドンペリ3本」
(あ、あの、そそそんなお金、ないんですけど‥‥)




人間失格毛はえ薬かえない.jpg

(どうしても恥ずかしくて、毛はえ薬が買えない‥‥)




人間失格またぐら.jpg

「ちょっとアンタ、どこに顔つっこんでんのよ!」
「す、すみません、間違えました」

と、このように恥ずかしいことばかり。
まさに人間失格です。
(って、「人間失格」ってこんな話だったかな。)

しかし、恥辱にまみれたそんな葉蔵の人生が、大きな転機を迎えます。
ある日、葉蔵は、あれを拾ってしまったのです。
あれ。
そう‥‥。


人間失格デスノート.jpg

デスノート!!!

おおー、そうか、「DEATH NOTE」の小畑健とのコラボというのは、こういうことなのね!
オーソドックスな文学アニメだと思っていたら、まさに驚愕の急展開。
うわー、俄然、おもしろくなってきました!

デスノートを手に入れた葉蔵は、もちろん、もとが人間失格野郎ですから、夜神月くんのように世界をよくしてやろうなんてことは微塵も考えません。
ただひたすら、おのれの欲望を満たすためだけに、ノートを使います。
まずは、子どもの頃に自分をいじめた男を殺し、

人間失格男殺し.jpg



自分をバカにした女を殺し、

人間失格女殺し.jpg



デスノートの力で、やがては、金も、

人間失格金.jpg




女も、

人間失格女思いのまま.jpg




毛はえ薬も、

人間失格毛はえ薬文字つき.jpg

思うがまま!

僕が新世界の神になる!とばかりに、ほくそ笑む葉蔵。

人間失格笑い.jpg

まったくホントに人間失格です。

だが、しかし。
彼はやはり、
《人間の営みというものが未だに何もわかっていない》
のでした。
自分がその代償を払わねばならないときが、近づいていたのです。
ある日、いい気になって油断していた葉蔵は、うっかり、デスノートに自分の名前を書いてしまったのです。

人間失格名前.jpg

な、なんということ!

「ぼ、ぼ、僕は何てことを、してしまったんだ‥‥!?」

人間失格手を見る.jpg

どうなる、葉蔵!
このまま死んでしまうのか!?
でもあと3話分あるぞ!
起死回生の策はあるのか!?

ということで、第2話へ続く。

人間失格お化け.jpg

気になるかたは、次回ぜひ視聴してみてください。









そしてもちろん、以上は半分ウソです。
アニメになってるのはホントですが、デスノートは出てきません。
必ずしも小説どおりではありませんが、もっとオーソドックスな構成になっていますので、あしからず。


posted by 清太郎 at 10:24| Comment(6) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

若山三郎を悼む

先日、丘の上の庄ちゃんこと庄野潤三が死んじゃってガッカリでしたが、10月1日には、こんどは若山三郎が死んじゃいました。

《若山 三郎氏(わかやま・さぶろう=作家)1日午後1時19分、肺炎のため東京都板橋区の病院で死去、78歳。新潟県柏崎市出身。自宅は東京都練馬区貫井2の24の3の1101。葬儀は近親者のみで行い、後日、しのぶ会を開く予定。喪主はいとこの安中重義(あんなか・しげよし)氏。
 ミステリーや大衆小説、実業家の伝記など幅広いジャンルで活躍。主な作品に吉永小百合主演で映画化された「大空に乾杯」や「ドカンと一発!!」「政商」など。日本作家クラブ理事長。》

なのだそうです。
もうとっくに現役を退いてるのかと思ってたら、日本作家クラブの理事長なんてのをやってたのね。驚きです。(っていうか、若山三郎が理事長になれる日本作家クラブって何!? どうやら昔は「捕物作家クラブ」で、野村胡堂や江戸川乱歩、子母澤寛、長谷川伸をはじめ錚々たるメンバーが加入していたらしいけど、そのあたりの人たちが死んじゃった後は、まあある種の同好会みたいなものになってたみたい。)
そうかぁ、若山三郎、死んじゃったのかぁ。
あの若山三郎が‥‥。
ああ‥‥。
などと言っていると、
「えーと、あの、お取り込み中のところ、つかぬことをおうかがいしますが、その、若山三郎さんというのは、いったい、どなたさまでしょうか」
とお尋ねになるかたがいるかもしれませんが、ちょっとアナタ、何寝ぼけたこと言ってるんですか!
若山三郎といえば、あれですよ、あれ。
かつて、昭和40年代、一世を風靡した、かどうかはよくわかんないけど、今は(ほとんど)なき春陽文庫において、城戸禮の「三四郎シリーズ」とともに「春陽文庫の双璧」と称された、かどうかはわかんないけど、とにかく当時大人気、だったかもしれない、王道大衆小説作家です。
ちなみに、城戸禮の「三四郎シリーズ」とは、ずいぶん前にホームページで書いたとおり(→「今こそ『大暴れ快男児』を読まねばならぬのだ!」)、直球勝負の豪放痛快単純無双快男児小説。
・かけだし三四郎
・旋風三四郎
・竜巻三四郎
・無鉄砲三四郎
・よしきた三四郎
・ぶっ飛ばし三四郎
・つむじ風鉄腕三四郎
などといったタイトルを眺めるだけで、なにやら熱く血潮が煮えたぎってくるわけですが、若山三郎の「お嬢さんシリーズ」も、それに勝るとも劣らぬ、まさに双璧と並び称された(かもしれない)だけのことはあるタイトルがズラリ! なのです。
春陽堂書店のホームページにある「春陽文庫の作家たち」に載ってる一覧をそのまま引用すると‥‥。

 お嬢さんと腕力学生
 お嬢さんは意地っぱり
 お嬢さんは喧嘩好き
 お嬢さんの冒険
 お嬢さんはお目が高い
 お嬢さんは恋愛主義者
 青春会議
 大空に乾杯
 乾杯! 若社長
 ドカンと一発!!
 お嬢さんの求愛作戦
 おこりんぼ大将
 お嬢さんと一等社員
 天国は青春にあり
 男ならやってみろ!!
 お嬢さんごめんあそばせ
 お嬢さんは婚約中
 お嬢さんは江戸っ子娘
 お嬢さんの恋愛修行
 お嬢さんとドラむすこ
 青春へまっしぐら
 青春バンザーイ!
 おてんばお嬢さん
 青春をやりぬこう
 お嬢さん社長
 お嬢さんとちゃめ紳士
 お嬢さんは脱線好き
 お嬢さんに乾杯!
 青春に賭けろ
 恋人はおてんば娘
 青春大作戦
 けんか青春記
 お嬢さん待ってます
 台風お嬢さん
 ちゃっかりお嬢さん
 けとばした青春
 パーフェクト青春
 お嬢さんは適齢期
 青春をぶっ飛ばせ
 結婚への招待状

単純にして明快、カラリサッパリ、力強く逞しく、なおかつ(昭和的な)ユーモアにあふれたタイトルばかりではないか。
ああ、もう、眺めているだけで、めまいが‥‥。

そして、この素晴らしい表題を飾る表紙のイラストも、これまたクラクラするようなものばかり。
こんなときのためにと本棚の奥にしまっておいた作品群を並べてみると‥‥、ええい、どうだどうだ!!

wakayamasaburou.jpg

ああ、もう、たまりません。
思わず、卒倒してしまいそう‥‥。
そして、その内容ときたら、これまた、もう‥‥。
ためしに一冊、「お嬢さんはガンコ者」の表紙の見返しにあるあらすじを見てみると、こんな感じ。

《二十八歳の好青年塩屋省吾は、失業と失恋の痛手にもめげず、新しい職場につきすすんでいった――。それは、彦沢農機社長・彦沢徳蔵つきの自家用車運転手の仕事であった。
 省吾の人がらをみこんだ彦沢社長の期待にこたえて、省吾もガンコ社長によく仕えた。
 ふとした自動車事故で知り合うことになった森戸勝平、朝美の父娘も、彦沢社長に一歩もあとにひかないガンコ者であった。美人娘の朝美に省吾の心はひかれていくが‥‥。
 ガンコ者どうしがまきおこす愛と笑いのこころよい物語――
 お嬢さんシリーズの最新作。読者待望の人気作家若山三郎が軽妙な筆にのせてくりひろげる青春サラリーマン小説の痛快編『お嬢さんはガンコ者』!》

ああ、なんということでしょう!
これを読むだけで、ストーリー展開が丸わかり、といっても過言ではありません。
しかも、それはこの一冊だけではない。
上に列挙した作品すべてが、細部は違えど、ほぼ同様の展開なのです。
まさに、獰猛な熊を相手に敢然と立ち向かった剛勇無双の金太郎をかたどった金太郎飴のごとし!
もちろん、結末はすべてハッピーエンド。どんでん返しもあっと驚く展開もありません。
まさしく、磐石、泰然、安心、安全。
そう、そうなのです。若山三郎の作品には、現代のわれわれが失ってしまったすべてのもの(たとえば、将来に対する根拠のない明るい希望、まっとうに生きていればそこそこ幸せになれるはずという人生に対する安心感、女性に対する幻想、オヤジギャグを素直に笑えるセンスなど)が詰まっているのです。
若山三郎が死んだ今、あらためて彼の作品を読み、ノスタルジーにひたるというのも、またひとつの読書のヨロコビでありましょう。

ということで、
「なんか、ちょっと、あたし、若山三郎読みたくなってきちゃった」
という人は、ぜひ実物を手にとってみてください。
地方の古本屋さんの店頭のワゴンを根気よく探せば、見つけることができるでしょう。
たぶん、1冊20円くらいです。


posted by 清太郎 at 12:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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