2009年06月24日

【太宰治生誕百年記念】太宰治フィギュア

フィギュアといえば、数年前までは一部のマニアのものでした
フィギュアと聞いて思い浮かぶのは、綾波レイ1/8スケールとか、セーラーマーキュリー1/12スケールとか、そちら方面ばかり。
部屋にフィギュアが飾ってあるなんて女子にバレようものなら、変質者扱いされたものだといいます。
それが今や、フィギュアなんて食玩として当たり前のものになり、女子も喜ぶかわいいフィギュアが巷間にあふれ、たとえ綾波レイが机の上に載っているのが見つかっても、変質者扱いされることは少なくなりました。マンガ単行本の初版のおまけなどにフィギュアがついてることも、珍しくありません。

せっかくそんな時代になったんですから、われらが小説界も、これに便乗しない手はありませんよね。
なんたって、今年は太宰治生誕百年なんです。
先日、太宰の故郷である五所川原市(旧金木村)で、マント姿の太宰の銅像が完成した、なんてことがニュースになってましたが、銅像だなんて、なんというアナクロ。誰がこんなの見たいと思うの。田舎役場の貧困企画とそしられてもしかたがないでしょう。
銅像なんて建てる予算があったら、フィギュアをつくればよかったのです。

太宰治フィギュア。1個300円(税込)。
写真でお馴染みの頬杖をついた太宰や、バー・ルパンのスツールに座る洋装の太宰など、あこがれの太宰治を手の平サイズで立体化!
‥‥と、それだけではぜんぜんおもしろくありませんから、太宰治の小説作品から、登場人物を立体化します。
たとえば‥‥。
・「人間失格」の主人公(小畑健バージョン)
・「カチカチ山」のさえない中年男タヌキ
・同じく「カチカチ山」の小娘ウサギ
・「右大臣実朝」のニヒルな実朝
・「駆込み訴え」のユダ
・「斜陽」冒頭のスウプをすっと吸うお母さま
・「津軽」ラストの桜の花をむしるたけ
・「満願」の白いパラソルをくるくるっと回す若奥さん
・セーラー服の「女生徒」
・入浴中の「女生徒」
・「富嶽百景」の放屁なさる井伏鱒二

1個300円のお手軽価格ですが、ガシャポンだったり箱に入ってたりで、開けてみるまで何が当たるかわかりません。
「走れメロス」の、
・刑場に走りこんだ全裸メロス(汗みずくで、頬は上気)
・縄を打たれて吊り上げられるセリヌンティウス
このペアをそろえるまで、
「1万円費やしました」
という腐女子のかたも出てくるに違いないでしょう。

そして、いちばんのレアアイテムが、「美少女」に登場する、
・コーヒー茶碗一ぱいになるくらいのゆたかな乳房を持つ全裸入浴美少女
であることに、異論はないでしょう。
これをゲットするために何箱も大人買いするコアなダザイストも少なくないはず。
従来の太宰グッズでは考えられないような売り上げが見込めます。
今からでも遅くはないので、太宰治生誕百年の関係者の皆さんには、ぜひ検討してもらいたいものです。

posted by 清太郎 at 19:07| Comment(5) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月14日

算数の文章題を楽しむ

小学生のころ、
「算数の文章題が苦手だった」
という人は少なくないでしょう。
(11+23)×(58+13−21)
といった式だけの問題ならバリバリ解けたけど、文章題となると途端に、
「萎えちゃったんです」
「わけわからなくなっちゃったんです」
「気分が悪くなっちゃったんです」
という人。
大人になった今でも、文章題なんて思い出したくもない、ああやだやだ、
「幼稚園に通ってる娘が、いずれ小学校5、6年生になって、ある日いきなり算数の問題集を手にして『ねえパパ、つるかめ算がわかんないの。ちょっと教えて』ということになったらと思うと、今から心配で心配で‥‥」
というお父さんも、いるかもしれません。(でもだいじょうぶ、小学校5、6年生になった娘さんは、もうパパなんかにものを尋ねたりはしません。口もきいてくれません。)
翻訳家の岸本佐知子も、エッセイ集『気になる部分』(白水社)の中で、こう書いています。

《私も最初から数学がまるでだめだったわけではない。すくなくとも「さんすう」の段階までは、まだ何とか息があった。テストでも、単純な計算問題の部分はむしろ解くのが楽しかった。が、これが設問形式となると、もういけなかった。》

とはいえ、大人になって多少強くなった今ならば、文章題は案外おそるべきものではないかもしれません。
いつまでも傷を抱えたままではしかたがない。
思い切って、幼き日のトラウマと向き合ってもいいのではないでしょうか。

そうしてあらためて文章題を見てみると、そのシンプルさに気づかされます。
余計な修辞を省き、最小限の情報だけを提供する、簡潔にして平明な文章。
そのシンプルさゆえに、小学生だった岸本佐知子嬢は、思わず妄想してしまったものでした。同じエッセイで、先の一節に続けて、彼女はこう書いています。

《たとえば「ある人が、くだもの屋さんで20円のリンゴを7こ買おうとしたら、10円たりませんでした。その人はいくら持っていたでしょうか」というような問題があったとすると、私はその“ある人”のことがひどく気の毒になりはじめるのである。この人はもしかして貧乏なのだろうか。家にそれしかお金がなかったのだろうか。リンゴが7個買えないとわかった時に“ある人”が受けたであろう衝撃と悲しみは、いかばかりだったであろうか――。どうかすると、同情が淡い恋心に変わってしまうことさえあり、(“ある人”ったら、うふふ……)などと思いを馳せているうちに、「はい、鉛筆おいてー」という先生の声が響きわたってしまうのだった。》

そう、ここに、文章題に向き合うためのヒントがあります。
算数以外の要素を極力排したシンプルな文章。
だからこそ文章題には、
「書かれていないこと」
を想像する余地がたっぷり残されているのです。
文章題には、無限の可能性が秘められている、といってもいいでしょう。
文章題とは、もしかしたら、驚嘆すべき波乱万丈のドラマの、そのごく一面を算数的に切り取っただけなのかもしれないのです。
そして、もはや小学生ではない皆さん、制限時間内に問題を解く必要のない皆さんならば、書かれざる文章題のディテールを心置きなく味わうことができるはずです。
さあ、めくるめく文章題の世界へ‥‥。

たとえば、さっきの岸本嬢の問題。

「ある人が、くだもの屋さんで20円のリンゴを7こ買おうとしたら、10円たりませんでした。その人はいくら持っていたでしょうか」

彼女が想像したように、この“ある人”は貧乏なのかもしれません。
貧乏なうえに、実は“ある人”は16歳くらいのセーラー服美少女だった、というのもいいかもしれません。
そうして、くだもの屋さんはとんでもないヒヒオヤジで、10円足りなくて頬を赤らめて戸惑っているセーラー服16歳美少女の“ある人”に向かって、
「そうさなあ、まあ10円ばかり、まけてやってもいいんだがなあ‥‥、そのかわり‥‥ゲヒヒ、なあ、わかるだろう、お嬢さん?」
といいながら、“ある人”のむき出しの太ももへと、ねっとりとしたなめくじのような視線を這わせたのでした‥‥、とか。

ただ、これではちょっとありきたりすぎるので、私としては、もう少し意外性のある設定をおすすめしたいところです。
たとえば、こんな感じ。

「ある人が、くだもの屋さんで20円のリンゴを7こ買おうとしたら、10円たりませんでした。その人はいくら持っていたでしょうか。ちなみに、ある人は全裸でした。」

どうでしょうか。
何気ない日常シーンが一転、にわかに手に汗握る状況へと変貌するはずです。
「“ある人”は露出マニアなのかしら」
「全裸で130円を握りしめていたのかしら」
「“ある人”は、男子なのか女子なのか」
「この“ある人”に対して、くだもの屋さんはどのように応対したのか」
「意外にも、くだもの屋さんも全裸だったりして」
ここに至って我々は、文章題に内包された危険なまでの前衛性、平明さの仮面に覆われた欲望や暴力を、意識しないではいられないのです。

同様に、どんどん全裸にしていってみましょう。
「えんそくにこどもが76にんと、せんせい12にんいきます。ぜんぶでなんにんでしょうか。ちなみに、ぜんいん全裸です。」
「れいこさんは家から学校までの道のりの3分の1を歩きました。残りは400mあります。家から学校までは、何mあるでしょう。ちなみに、れいこさんは全裸です。」
「周囲の長さが1000mの池をケンタくんとアオイさんが反対方向に進みます。ケンタくんが分速120m、アオイさんが分速80mで進むと、2人は何分後に出会いますか。ちなみに、ふたりとも全裸です。」

もちろん、全裸ばかりでは食傷気味ですから、ほかにも、
「ちなみに、Aさんは女の子のかっこうをしていますが、実は男の子です。」
「ちなみに、太郎くんはたかしくんのことが好きでした。」
「ちなみに、ユキオくんはクニコさんの本当のお兄さんではありません。」
このように、ちょっとした工夫で、文章題はどんどん楽しくなることがわかります。

かつて、見るのも苦痛だったあの文章題。
あの文章題に、こうしたわずか数十字の一文と、ちょっとしたイラストがついていれば、もしかしたら算数嫌いにならなかったかも、と思う人もいるかもしれません。
算数嫌いにならず、理系に進んで、今ごろは研究者かエンジニアになっていたかも。こんなニートじゃなくて‥‥。



少子化が進む現在、参考書・問題集を扱う出版社は、ますます小さくなるパイを奪い合うばかりという状況です。
新たな読者層を獲得するためにも、以上のことをヒントに、問題集やドリルのコンセプトを見直してはいかがでしょうか。
たとえば、
「絵でわかる文章題(小学四年生)」
文章題1問ごとにイラストを付けた、ビジュアル満載の問題集にするのです。
算数が苦手な子どもでも、興味を持ってページを開き、文章題に取り組むことができるでしょう。
そればかりか、お父さんや一部のお母さん、いや、子どものいないおにいさん・おねえさんが読んでも楽しめる内容になること、間違いなし。
っていうか、むしろ、子どもが見ちゃいけない本になりそうですが‥‥。
posted by 清太郎 at 08:56| Comment(10) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月03日

国営メイド喫茶

2009年度補正予算案に計上されている「国立メディア芸術総合センター(仮称)」が、
「国営漫画喫茶」
などと呼ばれて批判されてましたね。(民業を圧迫できるほどの国営漫画喫茶なんてものをつくれるんだったらつくってみろ、と思わないでもないけど。)
いっそのこと大幅に規模を縮小したうえで、マンガ喫茶ではなくて、
「国営メイド喫茶」
にしてしまえば、それなりの支持が得られると思うのですが、どうでしょうか。

何しろ、国営ですからね、ここで働いているメイドさんは、当然、国家公務員ということになります。(業務は民間に委託とか、スタッフはバイトとかはダメです。)
でもって、メイドで国家公務員、ということなると、それだけで何やら旧ソ連的というか冷戦的というかアニメやラノベにありがちな設定的というか、
「外見はかわいらしいメイドさんだけど、実は秘密の工作員で‥‥」
「こう見えて、実は地獄の選抜試験と悪夢のような猛訓練(福井晴敏の小説に出てくるような)を受けていて‥‥」
「スカートをこう、たぐり上げると、太もものところに拳銃が‥‥」
「胸の谷間にはナイフが‥‥」
というような独特の陰影が立ちこめてくるわけです。
でもって、国営の施設である以上、政治家の人も秘密の会合の際には、料亭なんかじゃなくて、この国営メイド喫茶の奥の個室なんかを使うんでしょ、ということになる。
当然、政治家でメイドで秘密の会合とくれば、
「政治家のヒヒオヤジが、無垢なメイド相手にあんなことを‥‥」
「こんなことも‥‥」
ということになり、いっそう事態は濃厚になってきます。
でもって、そうなると当然、海外の諜報機関も注目せざるをえませんよね。
「外見はかわらしいメイドさんだけど、実は北から送り込まれた‥‥」
「政治家のヒヒオヤジをトリコにする四十八手の秘技を身につけ‥‥」
ということになるのは時間の問題です。

いや、実際にそんなことにならなくてもいいのです。
「国営メイド喫茶」
という響きには、それだけのイメージを喚起させるだけの力がある、ということなのです。
この国営メイド喫茶の内情が、実際は一から十まですべて民間の一般的なメイド喫茶と同じだとしても、かまいません。
たとえそうだったところで、人員が国家公務員であるという担保がある以上、
「メイドさんというのは仮の姿で‥‥」
という可能性を否定し尽くすことはできない。公的にどんな発表がなされようと、ここで働くメイドさんたちは、
「実はこう見えて国家の秘密諜報機関の一員かもしれず、夜は政治家のヒヒオヤジ相手にいかがわしいサービスをしているかもしれず、しかも実は某国のスパイかもしれないメイド」
なのです。
入店したお客さんは、
「ぼ、ぼくの目の前の、こ、この笑顔のかわいいメイドさんが、も、もしかしたら、もしかしたら‥‥」
と、次々鼻血、続々卒倒。
となると、日本中でここだけにしかいない、そんな唯一無二のメイドさんたちを目当てに、国内外からお客さんが殺到するは必至。景気対策にはならずとも、国の会計に幾ばくかのプラスをもたらすに違いないと思うのですが、どうでしょう。
きたる衆議院選挙に向けて、ぜひとも検討してもらいたいと思います。

ただ、もう予算通しちゃったんだし、今さらそんなこといわれても困る、とりあえず4階建てくらいの建物をつくらなきゃゼネコンとかそっち方面に示しがつかん、というのであれば、そうですね、1階はメイド喫茶にして、2階は執事喫茶(国家公務員の執事!)、3階は耳かきカフェ、4階は‥‥、えーと、とりあえず、この前考えた「読み聞かせカフェ」にでもしておけばいいと思います。


posted by 清太郎 at 06:44| Comment(7) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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