2008年12月19日

来年ブームになる小説

昨年の「カラマーゾフの兄弟」、今年の「蟹工船」と、リバイバルブームが続いています。石川達三の「青春の蹉跌」も、本屋さんで平積みになってたし(テレビのワイドショーか何かで紹介されたそうです)。
2008年はそろそろ終わりですが、来年2009年も、また何かリバイバルものが流行るんじゃないでしょうか。

では、カラマーゾフと蟹工船の次に来る作品は何か。ちょっと予想してみましょう。
カラマーゾフ、蟹工船と、共通するのは「カ」で始まる小説であることですね。うむ、来年も「カ」で間違いないでしょう。
ロシア、日本と来て、次は米英、あるいはフランスあたりになりそうですから、 
・フロベール「感情教育」
・メリメ「カルメン」
・スウィフト「ガリバー旅行記」
なんかが有望そうです。
が、いや、ちょっと待ちなさい。安易にタイトルだけで予想しても意味がないのではないか。中身も重要なんではないか。
暗い世相を反映して「蟹工船」がブームとなった今年に続き、さらに暗澹たる不況が待ちかまえている来年は、この「蟹工船」をすら凌駕する暗い作品が歓迎されるに違いありまません。
「ワーキングプアなんて、もう古い。時代は今、ワーキングどころじゃない、ただのプアだ!」
なのです。

となると、
・葛西善蔵「哀しき父」
・宇野浩二「枯木のある風景」
といった貧乏私小説が俄然クローズアップされることになるんだけど、うーん、いまひとつマイナーです。私も読んだことないし。
そこまで「カ」の字にこだわらなくてもいいのかも、貧乏小説としてもっとメジャーな、
・川崎長太郎「抹香町」
・宇野浩二「子を貸し屋」
・尾崎一雄「暢気眼鏡」
といったところでもいいのではないか、とも思うのだけど、いや、待てよ待て。
今年は「蟹工船」が流行ったといえど、所詮それはひと握りの人たちの間でのこと(読書人口なんて釣り人口などよりずっと少ないのです)。世間的には、もっと流行ったものがあるわけです。
ほら、あれ。
ポーニョポーニョポニョ、「崖の上のポニョ」。

となると、ですね。
今年流行ったのが、崖の上。
暗澹たる来年は、崖の下。
ということになっても、おかしくはないのではないか。
うむ、そう、それです。
・嘉村礒多「崖の下」
これがあるではないか。
「駆け落ちしてきた男女が、今にもくずれそうな崖の下のボロ家でひっそり暮らすことになった」
というプア小説で、なおかつ、おお、「カ」の字で始まるではありませんか。
これはもう、この作品で決まりではないか。
来年流行るのは、ずばり「崖の下」。
崖の上の次は、崖の下だ! 崖の下のプアだ!

ということで、時代の最先端を体験したいあなたは、今から「崖の下」を読んでおくといいでしょう。


posted by 清太郎 at 00:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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