2008年12月12日

シアトル中央図書館に行ってみた

建築雑誌などを見ていると、ときどき図書館が話題になってます。伊東豊雄がデザインした多摩美術大学新図書館、坂茂の成蹊大学情報図書館、ヘルツォーク&ド・ムーロンのコトブス大学図書館、フォスターのベルリン自由大学図書館なんてあたりがよく知られていますが、大学内だったり海外だったりで、実際に目にする機会はなかなかありません。
が、このたび、所用あってシアトルに滞在中。シアトルといえば、シアトル公共図書館の中央図書館! 話題図書館の筆頭格です。ということで、いそいそと行ってきたので、今回はネタもオチもない単純な図書館レポートをお届けします。

中央図書館がオープンしたのは2004年5月。設計は、レム・コールハース(北京オリンピックの前にちょっと話題になった北京のヘンな形のビル、中国中央電視台本部もこの人のデザインですね)。総工費1億6,550億ドル、11階建てで床面積3万4,000平米、収蔵能力は145万冊(現在100万冊くらい)なのだとか。

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建物の見た目は、いかにもコールハースらしい、ヘンな形。今にも、
「【問】この立体について、
(a)体積を求めよ
(b)表面積を求めよ
(c)頂点abkjで切った断面の面積を求めよ」
などと迫られそうな、得体の知れない形状です。見上げてるだけでは、どこがどうなってるのか皆目見当がつきません。

が、全体を覆うガラスと取り去ってしまえばわりとシンプルで、積み重なった直方体をガチャガチャと横にずらして、その頂点を結んでいった、といった感じ。ネットで拾ったこのイラストを見るとわかりやすいでしょう。

図1

見上げてるだけではしょうがないので、早速入ってみました。入り口は、ここ。

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入ってすぐの1階にあるのは、児童図書と各国語図書のコーナーです。
日本の本もちゃんとありました。

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量的には他の言語の本より断トツに多いようで、たぶん4、5千冊くらいはあるんじゃないかしら。ただ、蔵書はどういう基準で選んでいるのか(もしかしたら寄贈本がほとんどなのか)、中身はなんとも微妙。時代小説の一角は、懐かしの春陽文庫やら山手樹一郎やらが堂々と並ぶ、今の日本ならありえないラインナップでした。蔵書がこの程度なのか、それとも人気作品は軒並み借り出されているのか、そのあたりは謎です。「江戸っ子侍(上)」の隣になぜ「秘密のSummer Kiss」が並んでいるのかも謎。

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マンガもありました。いきなり「じゃりン子チエ」とか。

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ちなみにマンガについては翻訳ものの方が充実していて、3階のヤングアダルトコーナーにはMANGA専用棚も設けられています。MANGA事情にことさら詳しいわけではないのでよくわかんないのだけれど、ざっと見たところ、「フルーツバスケット」や「犬夜叉」、「NARUTO」、なるしまゆりといった定番作品から、「ケロロ軍曹」「魔法先生ネギま!」「エマ」といった最近のものまでそれなりに揃っているみたい。

画像07

どうやらデルレイという出版社(レーベル?)がマニアックな作品に強いらしくて、「ネギま!」のほか「寄生獣」「蟲師」「げんしけん」「ゴーストハント」なんかが出てました。なるほど。

シアトルは坂の街なので、3階にも出入り口があります。こんなセルフサービスの貸出機が置いてありました。

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図書はすべてRFIDタグで管理されているのね。便利そう。返却もブックポストに放り込めば、ベルトコンベアでゴゴゴゴ‥‥、と運ばれます。

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3階は「Living Room」と呼ばれていて、わりとオープンな感じ。小説の書架がバーンと並んでいるほか、一部の雑誌とヤングアダルトもここ。カフェや売店(中央図書館グッズも売ってます)もあります。
何より、天井が高くて、とっても広々。

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写真中央の黒いカタマリが、中二階になっている4階(ミーティングルームがある)で、その上の5階まで吹き抜けになってます。
5階は「Mixing Chamber」なんて名前がついている調べものスペース。参考図書の書架が並び、カウンターでは司書さんが何でも相談に乗ってくれて、パソコンも145台置いてあるそうです。写真は、そのカウンターと、背後にある司書さんのワークスペース。

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カウンターの上にあるモニターは、貸し出された本のタイトルが刻々と表示されていくようなデジタルアート作品らしいです。現在の貸し出し件数なども、一定時間ごとに表示されているようです。

でもって、6階から9階が、小説以外の本がドカンとおさまった「Books Spiral」。スパイラルですから、螺旋状です。床がわずかに傾斜していて、6階から9階までがひと続きになってるのね。
この図を見ればわかるでしょうか。

図2

000の総記から始まって、上へ上へ、折り返し折り返し、延々とつづいています。もちろんエスカレーターや階段があるのでショートカットできますが、いちおう下から上まで歩いてみました。

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画像11b

ちなみに、エスカレーターはハデハデ。どこの未来だ、という感じです。

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これまで図書館というのは、本を読むため、あるいは調べものをするための静的な空間でした。図書館がそういう場である限り、
「こんなハデハデなのは、図書館として、いかがなものか」
ということになるのでしょうが、でも最近の図書館は、インターネットに対抗して、「知識創造の場」として自ら定義し直そう、という流れにあるようです。となると、創造性を刺激しそうな、こんな突飛な空間デザインが、これからの図書館には増えていくのかもしれません。(こんな奇妙な図書館ばかりになったらイヤだけど。)

そうして歩き回ってると、館内のあちこちに検索用端末が置いてあるのが目につきます。

画像13

こんなふうに書影も出たりして(新しい本だけみたいだけど)、なかなか秀逸です。

10階に行き着くと、ここも天井の高い閲覧室になってました。年中天気の悪いシアトルですが、晴れたら自然光が降り注いで、気持ちいいだろうなあ。

画像14

というような感じでひと通り見てきたわけなんですが、図書館としての使い勝手はともかく、空間の切れ目をあまり感じさせないところが、さすが。1年に1度くらい、館内整理日と称して一週間休館にして、最上階から1階までの、
「本を使ったドミノ大会」
を開催しているに違いない、と思いました。


posted by 清太郎 at 15:24| Comment(5) | TrackBack(1) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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