2007年06月22日

好きなハヤカワ、燃え萌え岩波

ハヤカワ文庫では今、「燃え萌え雑学フェア」を開催中です。
ノンフィクション系のラインナップの中から雑学っぽいものをチョイスしたフェアで、数学史本の傑作・ベル「数学をつくった人びと」をはじめ数学・自然科学ものが「萌え系」、グールドの名著「ダーウィン以来」などの進化論とその他の雑学モノが「燃え系」で、帯の絵が違います。萌え系イラストのセーラー服メガネ鎖骨少女(セリフは「あたし‥‥物知りなおにいちゃん‥‥すき」)がたまらん!と、一部では好評のようですね。
本屋さんの店頭では、岩波文庫も先日から定番フェア「私の好きな岩波文庫100冊」の最中。「きけ わだつみのこえ」やら「銀の匙」やらといった定番中の定番が平積みになってます。

しかし、これ、逆だったらもっとおもしろいんじゃないでしょうか。
岩波文庫が「燃え萌え雑学フェア」で、ハヤカワ文庫が「私の好きなハヤカワ文庫100冊」なのね。
岩波のラインナップは、もちろん「きけ わだつみのこえ」や「君たちはどう生きるか」みたいな説教くさそうなのは一切なし。雑学モノといえそうな、たとえば、
・ファラデー「ロウソクの科学」
・「寺田寅彦随筆集」
・中谷宇吉郎「雪」
あたりが並ぶわけです。あ、これでは「萌え系」ばかりになっちゃうから(寺田寅彦で萌え〜、なんていうのも、なかなかツウっぽくていいかも)、「燃え系」として、
・森銑三「おらんだ正月」
・篠田鉱造「増補 幕末百話」
・穂積陳重「法窓夜話」
・根岸鎮衛「耳嚢」
などがリスト入り。

一方の「私の好きなハヤカワ文庫100冊」。
「ハヤカワだけで100冊なんて大丈夫かしら」と思う人がいるかもしれないけど、SFもミステリもノンフィクションも、けっこう名品・定番がそろってますから、ご安心を。
ハインライン、アシモフ、クラークといったSF定番にクリスティ、クイーンなどの定番ミステリ、このごろは小憎らしいことに「マスターピース」とかいって文庫から単行本に切り替えちゃってる硬派骨太ノンフィクション、たとえば、
・アラン・ムーアヘッド「恐るべき空白」
・ラピエール&コリンズ「さもなくば喪服を」
・アーヴィング・ストーン「馬に乗った水夫」
といったあたり、そのほか、
・オーウェル「1984年」
・スタインベック「エデンの東」
などもハヤカワNV文庫に入ってるし、さらに冒険小説、ホラーやファンタジー、ハヤカワepiのラインナップもあるし‥‥、と数え始めると100冊なんてあっという間です。

「岩波文庫 私の三冊」のように、この100冊のベースとするために各界の皆さんにアンケートをとった、
「ハヤカワ文庫 私の三冊」
という小冊子が出たら、それもぜひ読んでみたいところです。
‥‥と思ったけど、でも、アンケートの回収率は低そうだよね‥‥。各界とかいいつつ、一部の界に偏りそうだし。

(ちなみにハヤカワJA文庫には、丸谷才一編「私の選んだ文庫ベスト3」が入ってます。)
posted by 清太郎 at 15:38| Comment(0) | TrackBack(1) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月21日

限定版の付録

コミックの限定版付録が流行っています。携帯ストラップとかフィギュアとか。
先日も、「のだめカンタービレ」18巻限定版に、作中作「プリごろ太」のキャラクター宇宙の妖精プリリンのボールチェーンマスコットがついてました。いらないよー。ごろ太かカズオならともかく、プリリンではねえ‥‥。と、通常版を購入した次第。

マンガだけじゃなくて小説にも限定版ってないものかしらん、と思って調べてみたら、やっぱりすでにあるんですね。角川ビーンズ文庫「今日からマ王!?」シリーズから昨年11月に出た「今日からマ王!?クマハチ☆すぺしゃる」は、
「文庫史上(たぶん)初!?なんかイロイロ余計なものがくっついた「マ王」発売決定!!伊達と粋狂でお届けする、文庫+フィギュア+小冊子の最強コンポです!」
というものだったそうです。

ラノベの、とくにアニメ化もされてるような作品なら、今後、同趣のものがどんどん出てきそうです。その後はさらに、ラノベ以外のジャンルにも。
たとえば‥‥。
・畠中恵・しゃばけシリーズ最新刊「とんちんかん」初版限定・鳴家(やなり)ストラップ
・森見登美彦最新刊「真四畳半神話体系」初版限定「京都迷走マップ」
・京極堂シリーズ最新刊「泥田坊の呻」初版限定「京極夏彦オリジナルデザイン泥田坊フィギュア」
・「ローマ人の物語」文庫最終巻記念限定版付録「西ローマ帝国コイン」

ぜひとも出てほしいのが、これ。名作「虫の味」(八坂書房)の続編として、
・「帰ってきた虫の味」初版限定付録「マゴタロウムシのかりんとう」
八坂書房のかたには、ぜひ前向きに検討してもらいたいです。
posted by 清太郎 at 16:12| Comment(3) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月15日

プライドと偏見

男はプライドの生きもの、といいます。
子どものころ恥ずかしかったことが、オトナになると平気になる、ということもありますが(逆も多いけど)、それでもやっぱり、
「これくらいできるかと思ったけど、やっぱり恥ずかしくてできなかった」
ということは、少なくありません。

昨日も地元の本屋さんで、あちこち探しまわった末に、店員のお姉さんに、このひとことが言えませんでした。
「りぼんマスコットコミックスの『グッドモーニング・キス』第1巻、ありますか」

‥‥メモに書いて渡せばよかった。
posted by 清太郎 at 14:16| Comment(6) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

期間限定「漱石ギャラリー」

夏目漱石生誕の地である新宿区喜久井町に、「漱石ギャラリー」が期間限定でオープンしているそうです。7月30日まで。
区民らでつくる「漱石山房を考える会」が、関係資料などをまとめて展示。中でも、「夢十夜」の映画化にあたり、配給元の日活が約500万円をかけて制作したという「等身大の漱石人形」が目玉なのですが、こちらは今月17日までのさらに限定展示。えらそうにイスに座ってるだけの像で、全身18箇所の関節が可動!というわけではないんだけど、うーん、見てみたい。

しかし、考えてみると、生誕の地にこんなオトナ漱石の人形があっても、あまり意味がないですよね。生誕の地にあってしかるべきは、赤ちゃん漱石のはずでしょう。まだヒゲも生えてない時代の。
見物客も、千円札でおなじみの顔を立体であらためて見るだけよりも、この赤ちゃん漱石人形を見て、
「漱石も、赤ちゃんのころは、ふつうの人と変わらないのね」
というほうが、いっそう親近感がわいて、いいように思います。
ついでに、
「赤ちゃん漱石をだっこして記念撮影」
とか。

いずれ、これに対抗して松山で、
「松山での中学教師時代の等身大漱石人形」
熊本でも、
「熊本にだって漱石は来たばってん熊本五高時代の等身大漱石人形」
ロンドンには、
「ノイローゼ気味の等身大漱石人形」
修禅寺には、
「大吐血中の等身大漱石人形」
などなど、日本各地にいろいろな等身大漱石人形が登場すると、楽しいですね。おおかた出揃ったところで一堂に集めて、
「等身大人形で見る!移り変わる夏目漱石展」
を開催すると、漱石に対する理解がさらに深まると思います。
posted by 清太郎 at 16:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月08日

あそうタン

いろいろあって大変な安倍政権ですが、一方で先日から少々話題になってるのが、麻生太郎の新著「とてつもない日本」(新潮新書)。もう本屋さんに並んでるのかな。
「ポスト安倍をにらんだ攻勢」として、首相の「美しい国へ」(文春新書)の向こうを張った大胆なタイトル。若者に人気といわれる麻生太郎が、さらに自己アピール、ということなんですが、どうせなんだから、こんな真面目くさった新書なんかではなく、アニメか、せめてマンガにすればよかったのに、と思ってる人は多いんじゃないかと思います。

タイトルも「とてつもない日本」なんてオッチャンっぽいのじゃなくて、「GO! GO! あそうタン」とか「ブッチャケ!あそうタン」とか「あそ☆うた」とか、そういうので。ヒロインはもちろん、女子中学生の、あそうタン。アニメとマンガが大好きなオタクっ子で、愛読書は「ローゼンメイデン」。
周知のように、麻生太郎の母方の叔父は吉田健一だし、祖父は吉田茂だし、妹は皇族に嫁いでるし、安倍晋三の一族とも遠い親戚です。脇役として、眼が大きくて笑顔が人懐っこい吉田ケンコちゃん(通称・ヨシケン)とか、生徒会長として強権をふるうツンデレキャラの岸ノブエ(通称・ノブッチ)とか、一族と親戚だけでじゅうぶん魅力的な(っていうか、ありがちな)キャラクタが集められそうです。

でもって、そのままあそうタンが人気になって、麻生太郎が自民党の総裁になって、あそうタンが自民党のイメージキャラになったりすると、自民党のポスターなどはあそうタンと仲間たちが満載の明るく派手なものになり、党のイメージもよくなるはず。あそうタングッズを売り出して、党の収益にするのもいいでしょう。
もちろん、そうなると民主党も黙ってはいませんね。「おざわ☆イチロード」とか何とか、なんだか腹黒いヒロインが大活躍するステキなアニメかマンガができそうです。

でもって、さらに共産党も、遅ればせながらマンガ「しいちゃんの日記帳」で対抗するわけですが‥‥。うーん、こちらは健全すぎてつまらない作品になりそうです。
posted by 清太郎 at 19:04| Comment(2) | TrackBack(2) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月07日

ポワポワポワンの町、松山

永井豪の出身地・石川県輪島市の「ハレンチまちづくり」がどうやら停滞しているらしいのとは裏腹に、愛媛県松山市の「坂の上の雲まちづくり」が着々と実績を積み重ねているようです。
7月からは、原付のナンバープレートに、「坂の上の雲」にちなんだ雲形プレートが登場するとのこと。これを嚆矢として、今後、次々といろんなものが「雲の形」になることは、想像に難くありません。
まずは、この手のプレートの類。市役所の「広報課」「土木課」なんかを示す表示板や、教室のドアの上についてる「4年1組」とかのプレート、お店の「営業中」プレートに駅名プレート、バス停の看板、さらに市役所の人の名刺の形に切符やICカードなど、すべて雲形に置き変わっていきます
公文書にも雲の形が導入されます。A4、B5といった標準の判型に、「雲形」が加わるのね。
「ちょっとー、このコピー機、雲形用紙が使えないんですけど」
ということになっては困りますから、キヤノンとかリコーとか、メーカーもがんばって対応します。

そうして、雲形にしうるあらゆるものが雲の形になって数十年、数世代。
いっときのブームは過ぎ去り、「坂の上の雲」を読む人もほとんどいなくなって、松山といえば、えーと、「坊っちゃん」だっけ?という状況に戻っていきます。
そのときに、どうなるか。
ふと気がつくと、身の回りがほとんど雲の形。
松山で生まれ育って大阪や東京へ出ていった若者は、
「都会の食パンって、雲の形をしてないのか。四角いのか」
などということを初めて知ったり、あるいは銀行なんかで、
「あのー、すみませんが、そんなふざけた形のじゃなくて、もっとふつうの印鑑はないんですか」
といわれたりして、衝撃を受け、恥をかき、大人への階段を一歩のぼる、ということになるわけです。
あるいは、そのころにはもう、それらが雲をモチーフにしたものである、ということすら、若い世代は知らないかもしれません。なんだかよくわかんないけど、ポワポワポワンとした形、という程度の認識なのです。

そんな時代に、たとえば現在のような地域振興とか地方再発見ブームが起こるとしましょう。
すると当然、松山市は、
「なんだかよくわかんないけど、あらゆるものがポワポワポワンとした形になってる珍しい地域」
ということになります。
「ワハハ、この人たち、何? 変な形のふとんで寝てるー」
とバカにされ、
「松山って、やっぱり田舎なんだねー、辺境だ、ふつうの日本と違うんだ」
と田舎者扱いされ、
「「坊っちゃん」の時代と、あんまり変わってないんだねー」
と誤解される、ということになるわけです。

いや、でも、松山市民の皆さん、心配には及びませんぞ。
そうなれば、笑われバカにされながらも、注目度はアップ。人気は急上昇。いろんなものがポワポワポワンとした形になってる変な町・松山を見物するために、全国から多くの観光客が訪れるに違いありません。
名が失われてもなお、実が残るまちづくり。これこそ、もしかしたら司馬遼太郎が「坂の上の雲」を通じて、秋山兄弟や子規ら明治の男たちに託したメッセージに近いかもしれません。
単なる思いつき、強引なこじつけのように見える「坂の上の雲まちづくり」は、実はこのような、きわめて長期的な視点に立脚しているのです。

ま、もっとも、そんな数世代後には、あらゆるものが花の形や星の形、グニャグニャにグチャグチャ、ブワブワでポヨポヨ、といった変な形になっていて、ポワポワポワンとした雲形なんて全然目立たなくなってるかもしれませんが‥‥。
posted by 清太郎 at 17:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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