2007年02月15日

何は生きている

「棚は生きている」
といってももちろん、どくどくと脈打ちヌメヌメとした表面の(あるいは毛が生えた)恐ろしい生きた棚が、本やオモチャをしまおうと近づいた子どもたちを待ちかまえていて、グワァッ、グシャッ、ブシュッ、というわけではなくて、ここでいう「棚」が一般的な「板を平らにかけ渡して物をのせる装置」(と広辞苑に書いてあった。「装置」といわれてもねえ)ではなくて、より限定的な意味合いの、すなわち本屋さんの、そこに並べられている本を含めた意味での「棚」である、ということは、おそらくここを読んでおられるかたの多くにとっては承知のことだとは思うけれども、とにかく書店業界では「棚」という言葉をそのように使っているのであって、
「いい棚ですね」
という言葉も書店業界以外ではおそらく「すばらしく収納がしやすい棚」「頑丈で見た目にも美しい棚」などを指し示すものであろうが、書店業界に限っては、たとえば眺めているだけでこちらの本とあちらの本がつながってさらにそちらの本ともつながってどんどんいろんな本が欲しくなってしまうような棚、だったりするわけで、したがって、お見合いの席で「趣味は何でございますか」「はい、棚づくりを」と胸を張っていうから、日曜大工が得意な手先が器用で頼れる男性かと思ったら実はただのこだわり書店員さんで、トンカチもドライバーも生まれてこのかた握ったことすらない人でしたのよウチの主人は、ということにならないとも限らないので注意しましょう、ということでいきなり話が横道に逸れているのだけれど、とにかく「棚は生きている」というのは、書店ひと筋のベテラン書店員さん(今は経営コンサルタントらしいですが)が書いた書店本で、読みたいなあと思いつつまだ読んでないんだけど、それはそれとしてふと思ったのは、この「○○は生きている」っていうスタイルのタイトルは、往年の名作アニメ「森は生きている」でおなじみではあるけれど、ほかにどういう題名があるのかなあ、というのが今回のテーマで、「棚」は余談で、「は生きている」のほうが本題。

で、さっそく検索して調べてみました。
で、結果。まあ思ったほどではないにせよ、それなりにバリエーションがあります。たしかに生きてそうなものから、どう考えても生きてなさそうなものまで、いろんなものが、生きているようです。
いくつかジャンルがある中で、目に付くのは理科や社会科の子ども向け本。
・山は生きている(リブリオ出版)
・地球は生きている(くもん出版)
・火山は生きている(青木章、あかね書房)
・木は生きている(稲本正文、姉崎一馬写真、あかね書房)
・お米は生きている(富山和子、講談社)
・道は生きている(同)
・川は生きている(同)

それから、「もう過去のものになっちゃったと思ってる人がいるかもしれないけど、どっこい、まだ現役なのよ」というような意味合いのもの。
・遠野物語は生きている(白幡ミヨシ述、吉川祐子編、岩田書院)
・寅さんは生きている(朝日ソノラマ)
・大本営発表は生きている(保阪正康、光文社)
・聖徳太子憲法は生きている(三波春夫(!)、小学館)

そのほか、
・刀は生きている(細野耕三、あきつ出版)
・日本の壁――鏝は生きている(INAX出版)
・国鉄ローカル線は生きている(日比野正己、水曜社)
これらはマニアックな世界。

・星は生きている
理科の本じゃなくて、筒井康隆のホラー短編。読んだことないけど、それこそ、生きている星が、グワァッ、グシャッ、ブシュッなのかしら。フィリップ・K・ディックの「植民地」(だっけ?)みたいな。

・流れる星は生きている
こちらは、グワァッ、グシャッ、ブシュッではなくて、藤原正彦のお母さんの藤原ていのベストセラーですね。あ、こっちこそ、ある意味、グワァッ、グシャッ、ブシュッかな。

・拉致被害者は生きている(金国石、光文社)
生きているといいですね。

・横田めぐみは生きている(講談社)
だといいですね

・ぼくは生きている(テリー・トルーマン、藤村裕美訳、東京創元社)
はいはい、その通りですね。

・死体は生きている(上野正彦、角川書店)
いや、生きてないでしょ。

・死者は生きている(萩原玄明、ハート出版)
だから、生きてないってば。

・死体はみんな生きている(メアリー・ローチ、殿村直子訳、NHK出版)
ホントにもう、生きてないって。

・死んでも生きている いのちの証し(菅原茂、たま出版)
いや、だからホントに、生きてないんだってば。


posted by 清太郎 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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