2005年11月16日

ご成婚を祝う和歌

紀宮と黒田さんのご成婚を寿いで、いろんな人がコメントを出していますが、その中に、紀宮の和歌の先生、岡野弘彦のものがありました。新聞をパッと見たら和歌が記載されているので、「ご成婚を歌で祝ってるのだな」と思ったら、単に紀宮が過去に詠んだ歌を解説しているだけで、歌人のくせに、そんな芸のないことでいいのかしら。

考えてみれば昔の人は、節目節目に歌の形でコメントを残してきたわけです。とくに慶弔には、歌はつきもの。こんなお祝い事があったら、皆人こぞって歌を詠みあげたはずです。新聞社にも、歌人には「意見」ではなくダイレクトに「歌」を求めるくらいの心得があってもいいのではないでしょうか。

もちろん、読者にもそれを味わうだけのゆとりがなくてはいけません。たとえば増税なんかについての識者の意見として大学の先生やエコノミストのコメントが並ぶ中に、歌人が1行だけ歌を載せてたりして、まあ「税金を あつめてはやし 最上川」とか何とか、いや、これでは和歌じゃないし、俳句ですらないけど、とにかくそういうのを読者が見て、識者の意見に対する「この先生の言うとおりだなあ」「この経営者は自分に都合のいいことばかり言って」とかいうのとは別に、
「お、この歌、いいんじゃないの」
「増税への嘆きに、うつろいゆく季節へのそこはかとない愛惜の念が重ねあわされていて、心に沁みる」
などという感想を持つとしたら、実に、まあ、あはれではないか。
それがたとえ無残な失政やひどい事故だったとしても、その結果として千年残るような名歌が生まれたとしたら、
「恐ろしい事故だったが、そのかわりにこんないい歌ができたんだから、まあ死んじゃった子たちも浮かばれるだろう」
ということにもなるわけで、物事に対する見方の幅も広がるというものです。

この調子で、何かことがあるたびに、
・ズワイガニ漁の解禁を祝う歌
・ブッシュ来日に際して一首
・2年3ヶ月ぶりに円安になったのを詠んで
というようなことになると、歌人の人も仕事が増えていいのではないか。そのうち、
「あの人は恋愛の歌はまったくダメだけど、経済関連の歌には実に味がある」
「教育問題を歌ったあの人の歌には、いつも感動させられる」
といった「経済歌人」「教育歌人」も現れて、なんだか楽しくなりそうです。御用学者ならぬ「御用歌人」なんてのも出てきたりして。
posted by 清太郎 at 00:00| 言葉ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月15日

ブックオフオンライン

ブックオフがオンライン事業参入に向けてプロジェクトを立ち上げたそうです。仮称「BOOKOFFOnline」。
これは楽しみです。待っていました。eBOOKOFFは使えなかったもんなあ。ぜひ、以下のような点を実現して、リアルブックオフに負けない存在になってもらいたいです。

・立ち読み自由。
・サイトを開いた途端、大音量で、
「いらっしゃいませ、こんにちはー」
という音が出る。
・古本、マンガ、CDなどのコーナーを移動するたびに、
「いらっしゃいませ、こんにちはー」
という音が出る。
・ヘルプ画面などでは、ブックオフのことならなーんでも知ってるヘビーユーザーの清水国明がものすごい勢いで案内してくれる。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月14日

モーツァルトとともに人生のハ長調

来年、2006年はモーツァルト生誕250年の「モーツァルトイヤー」です。ということをPRする新聞広告のキャッチコピーに、
「モーツァルトとともに人生のハ長調」
とありました。何やらよくわかんないけど、いいかも。
同じページの旅行代理店の広告に、「オーストリア航空で行く音楽の旅」として、
「日本→ザルツブルク→リンツ→ウィーン→日本」
というルートの旅行の案内が載っていました。なるほど。

作曲家でこれができるのなら、文豪でもぜひ真似してみたい。
と思ったのだけど、しかし2006年生誕の有名な作家って、調べてみたけど、坂口安吾くらいしか見当たらないのです。

坂口安吾とともに人生のデカダン
 新潟出発→東京(おしまい)

これでは短すぎて旅行になりません。
ということで、2006年とは関係ないけど、ほかの作家で考えてみたのだけど。

夏目漱石とともに人生のそれから
 東京→松山→熊本→東京
 (ロンドンを入れたほうがいいのだろうか)

ドストエフスキーとともに人生の罪と罰
 東京→モスクワ→シベリア→サンクトペテルブルク→東京
 (シベリアへの往復は鉄道による)
 
サン=テグジュペリとともに人生の夜間飛行
 東京→リヨン→パリ→トゥールーズ→マルセイユ沖
 (本当はカサブランカとかダカールを旅程に組み込みたいところだけど。最後はマルセイユ沖で自由解散)
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月11日

楽しい書店くじ

いつの間にか終了した読書週間中、本を買ったら「書店くじ」をもらいました。今回の特等賞は「オーストラリア8日間の旅」。

いつも思うのだけど、特等はフランスやらオーストラリアやらへの海外旅行よりも、せっかく本屋さんなんだから、「都内の一流ホテルに2泊+神保町の古書店でお買い物券10万円分」のような、本読みのキモチをそそるようなものにしてもらいたい。そうして、当選した人には、その10万円で何の本を買ったのか、レポートしてもらいたい。
書店くじって、いつもぺらぺらに薄くて、当選発表を待つまでもなくいつの間にか紛失してしまうし、当選発表がいつだったかなんてすぐに忘れてしまうし、本棚から抜き出した本の間に挟まってるのを見つけて「あー」と思ったりするし、正直言って、少しも「わくわく感」がなくて、おもしろくない。
当選結果を先延ばしにするよりも、こすってすぐアタリかハズレかわかる、スピードくじにしてもらいたい。
そうして、「4等賞 100円(図書購入時に充当)」というのもやめにしてもらいたい。ちっともありがたみがない。
商品は図書カード、というのもやめにしてもらいたい。500円の図書カード、って何だか実際よりも使いでがない気がする。

500円とか1000円とか、そういうケチくさいことを言わずに、たとえば、こうしてはどうか。いちばん下の賞は、
「文庫本1冊」
文庫なら、何でもいいのだ。それこそ、単行本より高い講談社文芸文庫とかでもいい。ただし、買ったその場で、その本屋さんの中で選ばないといけない。置いてない本を注文するのはダメ。書棚に並んでいる本のみ。しかも、10分以内に選ばないといけない、ということにする。
「えーとえーと、今読みたい文庫って、何があったっけ」
などと、探す喜びが生まれて楽しくなりそうだ。どうせタダなんだし、と、ふだん買わないようなものを選んでみるのもいい。

ちょっと上の賞は、文庫本ではなく単行本。やっぱり10分以内で選ぶのだ。で、1等は、
「本なら何でも、3万円分」
などということにする。それもやっぱり10分以内。
3万円分の本を10分で選ぶ、というのはなかなかたいへんだ。くじを削って、アタリがわかって、その瞬間から10分である。高めのものばかり、1冊3000円としても10冊。1分1冊。かなりの素早さが求められる。「全集のここからここまで」というような安易な選択をされてはつまらないから、シリーズものの本は1シリーズにつき1冊だけということにする。せっかくだから、合計金額が一定金額、まあ9割として2万7千円、これを上回らない限り無効、ということにしたい。駅前の小さな本屋さんなどであれば、読みたい本を3万円分集めるだけでもひと苦労。かといって、ジュンク堂みたいな大書店では目移りしてしまってパニックになりそうだ。
おもしろくするために、計算を間違えて合計が3万円を上回ったら無効、というルールも取り入れたい(1等というよりも罰ゲームの様相を呈してきたが)。
本を選んできて、レジに並ぶまでの10分。時間との勝負だ。当然、10分経過した時点でレジにたどりつけなかった場合も無効である。(書店くじの期間中、なぜか本の並び方がふだんと変わっていたり、あるいは書棚の間やらエスカレーターの前なんかに、不必要に店員さんがうろうろして通行の邪魔をしたり、しそうである。)

書店関係の偉い人には、「サァー本屋さんに行こう!」なんていうCDをつくるひまがあったら、こうしたことをもっとマジメに討議してもらいたい。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

本が虫だったら困る

飼育用に輸入された外国産カブトムシが野外で殖えて生態系を乱している、というような話がよく話題になる。それでふと思ったのだけど、本が虫でなくてよかった。

本が生き物だったら、たぶん困る。
男子中学生なんかが『罪と罰(上)』を買ってきて途中で挫折して、そのまま本棚に立てておくか古本屋に持っていったりすればいいけど、ゴミと一緒にてきとうに捨てちゃったりしたら、いけません。ふとしたはずみにゴミ袋から道端へとこぼれ落ちた『罪と罰(上)』は、そのまま野良になります。野良『罪と罰(上)』です。

同じように捨てられた『罪と罰(上)』はいっぱいいるだろうから、いつの間にか野良『罪と罰(上)』が集まって群れをつくったりする。深夜、明かりの消えた本屋さんの裏の路地などに、おびただしい数の野良『罪と罰(上)』が、音もなくわだかまっていたりするのだ。怖い。
生き物であるから、当然、繁殖もする。駆除しない限り野良『罪と罰(上)』は、どんどん殖えるばかりだ。「野良の中からちょっとキレイなのを拾ってくれば、本屋さんで買わなくても済む」などという意見は、安易といわざるを得ない。なにしろ、野良なのだ。校正がちゃんとしてるかどうか、どこにも保証はない。ところどころ、スヴィドリガイロフの名前がスメルジャコフになってるかもしれない。
第一、変な病気を持っているかもしれない。無闇に拾ってきて本棚に突っ込んだりすると、他のまともな本に病気が感染するかもしれない。久しぶりに漱石でも読むかと棚から抜き出した『それから』を開くと、代助の名前がスメルジャコフになっていたら困る。
本屋さんの店先には、「買ったら最後まできちんと読みましょう」などと注意書きが貼ってあるけれど、しかし読み終わった本だって、不用意に捨てれば野良になる。とくに、ちょっと昔のベストセラーが野良になりやすい。野良『罪と罰(上)』ほど迫力はないにせよ、夜道でバッタリ、野良『脳内革命』や野良『ハリー・ポッターと賢者の石』の群れに出くわしたとしたら、やっぱり怖い。

捨てなければだいじょうぶなのか、本棚の中におさめておけばいいのか、というと、そこはそれ、生き物なのだから何が起こるかわからない。
きちんと並べておいた『高慢と偏見(上)』と『高慢と偏見(下)』の間に、ある日ふと気がつくと、『高慢と偏見(中)』が生まれているかもしれないから、油断ならない。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月06日

遺品あり

前項からさらにネタを引っ張るのですが、この「遺品あり岩波文庫『阿部一族』」の句は、『阿部一族』であるところがいいわけです。同じ岩波文庫であっても、また同じ森鴎外であっても、『舞姫』や『青年』や『渋江抽斎』ではダメなんですね。
ということで、これが岩波文庫『阿部一族』ではなくて、他の何であったら、意味のある一句になるか、ちょっと考えてみました。異国の戦地で命を散らせた若者が、たずさえていた一冊の本‥‥。

・遺品あり『或日の大石内蔵助』
芥川龍之介です。これはこれでまたいい作品ではありますが、『阿部一族』の峻厳さに比べると弱いですね。

・遺品ありハヤカワ文庫『ハイペリオン』
語呂はいいんですが、それだけ。「SF好きだったんだね」という以上のものではありません。

・遺品あり岩波新書『大往生』
いかがでしたか、覚悟して死ねましたか。

・遺品あり『新しい歴史教科書』
扶桑社の例の教科書。これが遺品の中にあるのを見つけたとしたら、ちょっと複雑な気分。

・遺品あり大川隆法『神秘の法』
‥‥えーと、信教の自由ですし‥‥。ビミョー。

・遺品あり『ドラゴンボール』16巻
好きだったのはわかるけど、他に持っていくものはなかったんですか。しかもなぜ16巻?

・遺品あり『巨乳ネコ耳女子高生』
‥‥遺品は見つからなかったことにしましょう。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

(前項のつづき) クイズの回答ではないけど‥‥

えーと、蛇足を承知で、念のため。
「遺品あり岩波文庫『●●●●』」の●●●●は、阿部一族です。

遺品あり岩波文庫『阿部一族』

いわゆる戦争俳句の名吟として知られてる一句。って、私もたいして知らないんですけどね。いま調べたら、鈴木六林男(むりお)は去年の12月に85歳で死去したそうな。
何も説明がないとよくわかんないかもしれませんが、ここで秦恒平先生が、以下のように説明しています。わかりやすい。

《戦地に赴いて武運つたなく異国の戦場に果てた若い戦友の「遺品」に、ただ一冊の岩波文庫『阿部一族』があった。ただそれだけのたった十二字。無季の俳句の代表作であり、戦記文学としても煮詰められた最高の作である。「殉死」という非道の道義を痛切に剔った鴎外の原作を読みかえして見れば、この句の哀切な批評の迫力魅力はさらに倍加するだろう。》
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月05日

Amazon Pages

消費者が必要なページやチャプターだけを購入できるようにするサービス「Amazon Pages」を米Amazon.comが計画しているそうです。例として、
・マーケティングについて調べているビジネスマンが、ビジネス書から関連するチャプターだけを購入
・11月末の感謝祭の時期に、料理本から七面鳥料理のページだけを購入
などが挙げられているそうですが、たしかに、論文集の中の「この論文だけ読みたい」というような場合に、けっこう役立ちそうです。大学の研究紀要とかね。

しかし、用途がそうした「仕事に必要」「レポートに必要」「料理に必要」といった実用性ばかりではつまらないですよね。もっと、非実用的にこの「Amazon Pages」を活用したい。
となると、たとえば以下のような例が考えられるでしょう。

・ミステリの事件解決部分だけを購入
・司馬遼太郎『坂の上の雲』の日本海海戦シーンだけを購入
・池波正太郎の時代小説の中から料理シーンだけを購入
・平岩弓枝「御宿かわせみ」シリーズから『夜鴉おきん』の一編「岸和田の姫」(いいんです)だけを購入
・武田百合子『富士日記』の中から昭和42年7月20日の日記(いつ読んでも泣けます)だけを購入
・『ドラえもん』全巻の中からしずかちゃんのお風呂シーンだけを購入

いや、わざわざ「購入」するようなものではないのかな‥‥。
あるいは、句集とか歌集の中から、好みの句や歌を購入したりとか。『蕪村全句集』(おうふう)をオンラインで出したら、ダウンロード件数は意外にも、「菜の花や〜」「五月雨や〜」「春の海〜」をおさえて、「欠けて欠けて月もなくなる夜寒かな」がトップだった、ということになったりとか。いや、俳句を1句だけダウンロードなんていうことはしないか。

しかし、こうしたサービスが当たり前の世の中になった場合に、何を読むにも「購入」しないといけない、著作権が切れてもいないのにネット上に垂れ流しておくのはケシカラン、ということになったとしたら、たとえば昭和期の俳句なんかはネット上では五七五の一部しか閲覧できなくなったりするかもしれない。

鈴木六林男 「遺品あり岩波文庫『●●●●』」

何やら、クイズみたいです。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月01日

電子ブックをもっと便利に

読書週間の最中です。
「本を読んでる君が好き」なんていうキャッチフレーズが示すように、「読書週間」というもの自体が、なんとなく若者向けに設定されている気がするんですが、もっと高齢者層を大切にしなくちゃね。50代以上の「本離れ」が目立ってるわけだし。あるいはまた働きづめの20代、30代には、寝る前の静かな読書の時間なんてほとんどないわけだし。とも思います。

で、高齢者対策のためにも、目がしょぼしょぼしても読みやすいように文字の大きさや字間・行間を自由に調整できるような電子ブックの端末をつくって、Yahoo!BBみたいに無料で配布するくらいのことは、やるべきです。
今の電子ブックは単に「端末で本の内容が読める」という程度の機能しかないからダメですが、データであることの特性を生かしたいろんなサービスを用意すれば、もっと普及するんじゃないでしょうか。
ぜひ実現してほしいのが、
「外国人の名前を日本人名にしちゃう機能」
これさえあれば、名前が長くて覚えられないというだけで腰が引けてしまうロシアの小説もこわくない。ピョートル・ステパノヴィチ・ヴェルホーヴェンスキーも、ワンクリックで、
「穂山豹太郎」
ということになれば、すらすら読めます。
それから、これはちょっと難しいかもしれないけど、
「それまで読んだところのあらすじ作成機能」
たとえば読みさしのまま1年くらい経っちゃって、ふと手にとって、続きを読もうとしたときに、ワンクリックで10行くらいのあらすじがパッと表示されるのね。それが無理なら、何十ページぶりかで出てきた登場人物には「ブルドフスキー(パブリーシチェフの息子と思われていたが、違った)」とか、簡単な注釈をつけてくれるだけでもいい。
そのほか、
「本筋とは関係ない部分は自動的にスキップしちゃう機能」
「読んだ文字数に応じてマイレージがたまる機能」
「電車の中でも堂々とエッチな話が読めるように、内容とは関係なく、画面の正面から15度以上ずれたところからは森鴎外を読んでいるように見える機能」
「ついでにテレビとエアコンのリモコン代わりにもなる機能」
などがあると、ますます便利だと思います。
工夫次第で、電子ブックの未来は、バラ色です。
posted by 清太郎 at 00:00| 本ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。